
株式会社unerryと楽天インサイト株式会社は、スマートフォンの位置情報データを活用して、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の会場を訪れたユーザーを対象とした消費行動に関する調査結果を公表しました。
この調査は、楽天インサイトに登録している約220万人のモニターの中から、万博開催期間中に会場への来訪ログが確認されたユーザーを抽出し、全国の15歳から79歳までの1,444名を対象に実施されました。調査期間は2025年10月7日(火)から10月9日(木)までの3日間で、特定の地域や施設を訪問したユーザーにアンケートを実施できる「R-GEO Data Insight」を活用して行われました。
調査では、国内に居住する一般来場者および関係者について、万博会場への来場実態や周辺地域での周遊行動、居住地域(推定)という3つの軸から位置情報を分析し、訪問パターンごとの消費金額などが詳細に明らかにされています。
なお、株式会社unerryのリアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」に蓄積された人流ビッグデータ(スマートフォンの位置情報)において会場への来訪ログが確認されたユーザーが対象となっており、位置情報に基づく来訪行動ログデータは個人を特定できない個人関連情報として、法令およびユーザーの許諾の範囲内でデータ活用が行われています。アンケート分析に用いられたデータは個人情報保護法のもと、個人が特定できない形で統計処理が施されています。
この記事の目次
調査結果の概要
今回の調査で明らかになった主なポイントは以下の通りです。
- 国内在住者の大阪・関西万博来場に伴う推定消費総額は約1兆4,600億円に達しました
- 万博来場に伴う1人当たりの平均消費総額は、「居住地域が近畿圏以外×万博+大阪+京都」の周遊パターンが97,946円で最も高額となりました
- 会場内での1人当たりの消費額は8,000円から1.2万円台の範囲に収まりました
国内在住者による推定消費総額は約1兆4,600億円
楽天インサイトによるアンケート分析によって判明した大阪・関西万博来場に伴う滞在期間中の消費総額と、入場者の総数から推定消費総額を算出した結果、約1兆4,600億円に上ることが明らかになりました。
居住地域別の推定消費総額を見ると、「近畿圏以外」が約9,888億円と全体の約68%を占め、最も大きな消費をもたらしています。続いて「大阪府」が約2,577億円、「近畿圏(大阪府以外)」が約2,162億円という結果となりました。これらの結果は、大阪・関西万博への広域からの集客によって、特に遠方からの来場者の消費行動が経済に大きく貢献していることを示しています。
なお、消費総額には入場チケット代金は含まれていません。本推計は、調査対象期間における来場者のアンケートデータおよび各居住地からの来場者数(推計値)に基づいています。楽天インサイトにて、unerryのデータによる来場者構成比に合わせてウェイトバックした回答データから、回答者の選択式回答の中央値を用いて一人あたりの消費額を算出し、これにunerryのデータから推計した各居住地からの来場者数を乗じて算出されています。また、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会の公表資料から一般入場者総数を25,578,986人、関係者の入場者総数を3,438,938人とし、一般入場者のうち6.1%が海外からの訪日客として国内在住者のみを対象に算出されています。
周遊パターン別の消費総額分析
大阪・関西万博来場に伴う周遊先と消費総額について、居住地域と大阪・関西万博会場周辺地域への周遊実績の組み合わせを9パターンに分類して分析が行われました。
その結果、「居住地域が近畿圏以外×万博+大阪+京都」の組み合わせが97,946円で最も高額となり、次いで「居住地域が近畿圏以外×万博+大阪」が85,979円、「居住地域が近畿圏以外×万博+その他」が84,677円と続きました。これは、遠方からの来場者が大阪・関西万博訪問に加えて複数地域を周遊するパターン、特に京都との組み合わせが、消費総額を大きく押し上げる傾向があったことを示しています。
周辺地域での周遊分析は近畿圏(大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀、三重)を対象として実施されました。「居住地域が近畿圏以外×万博+大阪+京都」では、近畿圏以外の居住者と推定されるユーザーが、万博および万博以外の大阪に加えて京都を周遊したことを示しています。また、「居住地域が近畿圏以外×万博+大阪」「近畿圏居住×万博+大阪」「大阪府居住×万博+大阪」には、万博のみ訪問(万博会場以外の大阪滞在時間が短い)のパターンも含まれています。「その他」は各居住地域でいずれにも当てはまらない訪問パターンを指します(万博+京都+兵庫+奈良など)。
なお、入場チケット代金は含まれておらず、本推計は調査対象期間における来場者のアンケートデータおよび各居住地からの来場者数(推計値)に基づいています。
会場内消費額は8,000円から1.2万円台
会場内消費額(複数回来場した場合は平均額)について調査したところ、居住地や訪問パターンにかかわらず、概ね8,000円台から12,000円台の範囲に収まりました。訪問パターン別で見ても、特定のパターンで突出して高い傾向は見られませんでした。
会場内消費額は、入場チケット代金を除く、大阪・関西万博会場内で発生した飲食費、グッズ購入費などを指しています。「その他」はいずれにも当てはまらない訪問パターンを指します(万博+京都+兵庫+奈良など)。
調査概要
本調査の概要は以下の通りです。
- 調査エリア:全国
- 調査対象者:20歳から79歳の男女
- 回収サンプルサイズ:1,444サンプル
- 調査期間:2025年10月7日(火)から10月9日(木)
- 調査実施機関:楽天インサイト株式会社
R-GEO Data Insightについて
「R-GEO Data Insight」は、楽天グループのポイ活アプリ「Super Point Screen」でユーザーの許諾に基づき取得したGPSによる位置情報から、特定のエリアや施設へ来訪したユーザーに対して、アンケートを通じて来訪のきっかけや過ごし方を聴取することが可能なプロダクトです。
2025年3月より株式会社unerryが保有するGPSとBeacon技術を活用した「Beacon Bank」の人流ビッグデータと連携を開始したことで、より精度の高い実行動データ(アクチュアルデータ)に基づいた聴取も可能になっています。
Beacon Bankについて
株式会社unerryが運営する「Beacon Bank」は、スマートフォンアプリによる約8.5億ID(うち国内約2.4億ID)の人流ビッグデータをリアルタイムに蓄積しています。
全国約225万個のビーコンネットワークを支えるビーコンシェアの仕組み(日本、米国、中国における特許取得技術)を特長としており、屋外データを網羅的に捉えるGPSデータに加え、地下や屋内における位置計測データも組み合わせることで、屋内外の人流データをシームレスに把握しています。
株式会社unerryについて
株式会社unerryは、リアル行動データプラットフォーム「Beacon Bank」を運営する2015年創業のデータカンパニーです。GPSおよびビーコン技術を活用し、約150のスマートフォンアプリから取得する約8.5億ID(うち国内約2.4億ID)の屋内外の人流ビッグデータをAIで解析しています。
「心地よい未来を、データとつくる。」というミッションを掲げ、OMOマーケティング支援や、スマートシティの実現に向けた事業等を展開しています。
- 会社名:株式会社unerry
- 代表取締役社長CEO:内山 英俊
- 設立:2015年8月
- 本社所在地:東京都港区虎ノ門4丁目1−1 神谷町トラストタワー 23F
出典元:株式会社unerry











