
株式会社メルカリと株式会社駿河屋が、日本のエンタメ・ホビー領域におけるグローバルコマースの推進と安心・安全な取引環境構築を目的とした資本業務提携契約を締結したことが発表されました。両社は、メルカリの越境EC知見やテクノロジーと駿河屋の商品カタログデータ・在庫・店舗網・鑑定力を連携させることで、日本最大級の品揃えと安心・安全な取引環境の構築を目指すとしています。
今回の提携では、オンラインとオフライン店舗を組み合わせた「グローバルOMO(オンライン・オフライン連携)」を推進することで、エンタメ・ホビー商品の流通にとどまらず、日本ならではのリユース文化や多様な商品を通じた体験価値を世界へ届け、新たな価値循環の創出を目指していくとのことです。
この記事の目次
提携の背景
メルカリは「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」という創業時のミッション実現に向けた挑戦を続けており、中期的な経営戦略としてグローバル展開に注力しています。その一環として、2019年に越境EC事業者との連携を通じた越境取引事業を開始し、越境取引事業の流通総額は過去3年で15倍以上に成長し、年間900億円を超える規模に拡大しているとのことです。特にエンタメ・ホビー領域は越境取引の60〜70%を占めるなど、グローバル展開において重要なカテゴリーとなっています。
一方、駿河屋は国内外に152店舗(2025年12月時点)を展開するリアル店舗網と、数千万点規模の豊富な商品在庫、約3,000万件以上の商品カタログデータ、そして長年蓄積してきた真贋鑑定ノウハウを有する、日本有数のエンタメ・ホビー専門企業です。フィギュア、トレーディングカード、ゲーム、アニメグッズなど幅広いカテゴリーにおいて圧倒的な専門性を発揮し、国内外のファンから高い支持を得ています。
両社の事業環境が示す通り、アニメ・ゲーム・漫画・キャラクター・ファンシーグッズといった日本文化は世界的に高い評価を受けており、関連するエンタメ・ホビー商品の流通市場も急速に拡大しています。Grand View Researchの「Anime Merchandising Market Report, 2024」によると、2024年の約108億ドル規模から2030年に約187億ドル規模へ成長すると予測されています。
こうした需要の高まりが続く一方で、グローバル市場では正規流通が十分に整備されていない地域も多く、消費者が安心・安全に購入できる環境が整っていないという課題があります。特に、正規品が適切に届きにくい地域では、価格の不透明性や、偽造品・海賊版の流通が生じやすい市場構造が続いており、日本の文化的価値を正しく届けるための信頼性の高い流通基盤が求められていました。
このような市場課題に対し、メルカリと駿河屋は、それぞれが持つテクノロジー基盤・越境ECの知見と、豊富な在庫・商品カタログデータ・専門的な鑑定力を組み合わせることで、世界中の需要に応える、エンタメ・ホビー領域における日本最大級の品揃えと、安心・安全な取引環境を実現するとしています。両社はこの基盤を通じて、安心・安全に日本の多様な文化的価値を世界へ届ける新たな流通モデルの構築を目指していくとのことです。
資本業務提携の主な内容
本提携を通じて、駿河屋のエンタメ・ホビー在庫を活用して、メルカリのグローバル戦略を加速していくために、以下の取り組みを実施するとしています。
(1)「メルカリ」と「駿河屋」の在庫連携による日本最大級のエンタメ・ホビー商材の品揃えを実現
- メルカリのマーケットプレイス上に駿河屋の全商品を連携させることにより、エンタメ・ホビー領域において日本最大級の商品数を実現します。
- 日本国内での駿河屋の公式ECサイトは駿河屋.jpとメルカリ駿河屋店のみとなり、両サービス上で駿河屋.jp(公式オンライン)の全商品を同一価格で購入が可能になります。
(2)グローバル市場における販路の共同構築とOMO(オンラインとオフラインの融合)の強化
- メルカリグローバルアプリ上で駿河屋の公式ECサイトを展開し、世界中の消費者が日本最大級のマーケットプレイスでエンタメ・ホビー商材の購入が可能になります。
- 両社のアセットを活用し、日本のエンタメ・ホビーカルチャーの発信拠点となる「旗艦店」を国内外で展開していきます。
- オンライン(メルカリ/越境EC)とオフライン(駿河屋店舗)を連携させた、グローバル規模でのOMOマーケティングを推進します。
(3)駿河屋の商品カタログデータとメルカリのAI技術の融合による安心・安全な取引環境の構築
- 駿河屋の保有する約3,000万件の商品カタログデータ及びカタログ構築能力と、メルカリの取引データ・AI技術を連携させます。
- 駿河屋の「真贋鑑定ノウハウ」を活用し、偽造品の排除による適正流通に向けた取り組みを国内外にて推進し、安心・安全な取引環境を構築していきます。

本提携に関する両社代表コメント
株式会社駿河屋 代表取締役社長 杉山 綱重氏
エンタメ・ホビー領域における信頼性の向上は、駿河屋が長年大切にしてきたテーマです。当社は、数千万点規模の在庫、約3,000万件の商品カタログデータ、専門スタッフによる真贋鑑定や査定のノウハウ、そして国内外152店のオフライン店舗網を通じて、"日本品質のリユース"を磨いてまいりました。
本提携により、こうした駿河屋の強みを、メルカリが持つAI技術や越境ECの基盤と掛け合わせることで、お客さまが安心して利用できる新しい信頼モデルを、ともに築いていけると考えています。
日本のリユース文化は、丁寧な価値判断と品質へのこだわりによって支えられています。両社の連携によってその価値を世界へ広げ、エンタメ・ホビーをはじめとした日本の多様な文化的魅力を、より適切な形で世界のお客さまに届けてまいります。本提携が、循環型リユースの進化と、世界における日本発カルチャーの信頼向上につながることを期待しています。
また、こうした世界規模での新たな価値創造を加速させるため、私たちは採用活動をより一層強化してまいります。両社の強みを活かしたこの未踏のプロジェクトを推進し、日本独自の文化を世界へ届ける挑戦を共に楽しんでくれる仲間を、広く求めています。
株式会社メルカリ執行役員 CEO Marketplace 迫 俊亮氏
日本のエンタメ・ホビー市場は世界的に見ても独自の深さと広がりを持ち、今後グローバル規模で大きな成長が期待される領域です。本提携により、駿河屋が有する膨大な在庫・商品カタログデータ・鑑定力と、メルカリのテクノロジー・越境EC基盤が組み合わさることで、世界中のお客さまが日本のエンタメ・ホビー商品を購入する際のデファクトスタンダードとなるプラットフォームへと進化したいと考えています。
特に、市場の健全化に欠かせない「安心・安全に利用できる取引環境構築」については、両社の協働により大きく前進すると考えています。今後は、オンラインとオフラインをつなぐ取り組みをさらに進め、エンタメ・ホビー領域を起点に、日本の多様な文化的価値を世界のお客さまへ広げていく新たな流通モデルの実現を目指します。
今後の展望
メルカリは、本提携を起点に、オンラインとオフラインを連携させた新しい循環型リユースモデルを推進していくことになります。まずはエンタメ・ホビー領域での取り組みを深化させ、将来的には他の商材カテゴリーにも広げることで、日本が育んできた多様な文化的価値を世界の消費者へ届けるための基盤づくりを進めていくとのことです。
駿河屋は、本提携によりメルカリが持つ開発能力やオンラインサービス運営力を最大限に活用し、より信頼性の高い取引環境を整備することで、ボーダーレスで安全な商流を確立し、世界規模でのエンタメ・ホビー商材の循環と事業の飛躍的な拡大を強力に推し進めていくとしています。
「メルカリ×駿河屋」で日本文化を世界へ、オンラインとオフラインを繋ぐ世界最大級のエンタメ・ホビー流通網の構築を目指していくことが発表されました。今後の両社の取り組みに注目が集まります。
出典元:株式会社メルカリ プレスリリース












