SNSが日常生活に浸透し、従来型メディアの衰退が叫ばれる現代社会。書籍・雑誌・新聞といった紙媒体も大きく影響を受けています。
かつては一般的だった、本を手に取って読んだり、電車内で新聞を広げる光景も、今では珍しいものとなっています。この傾向は、若年層が主なターゲットのファッション雑誌も例外ではありません。SNSを通じて最新のファッションや流行を手軽に知ることができる環境により、「紙の雑誌」の価値が問われているといえるでしょう。
こうした状況を踏まえ、10代・現役高校生をターゲットとするマーケティング情報サイト「ワカモノリサーチ」（株式会社ワカモノリサーチ）では、全国の15歳～20歳の若者（男女）を対象に、「あなたは今年"紙の雑誌"を買いましたか？」というアンケート調査を実施しました。以下では、その結果の一部をご紹介します。
79.6%の若者が紙の雑誌を購入せず「興味がない」「お金がない」などの声
調査結果によると、79.6%もの若者が「紙の雑誌を買っていない」と回答しています。約8割の若者が今年、紙の雑誌を一冊も購入していないという実態が浮かび上がりました。
スマートフォンから情報が得られることや、インスタグラムなどのSNSを通じて雑誌情報を知れるという意見もありましたが、特に多かった回答は以下のような「雑誌そのものへの無関心」を示すものだったといいます。
「あまり興味がないから」
「雑誌に興味がないから」
「雑誌を見ないから」
これらの声からは、多くの若者にとって紙の雑誌が好きでも嫌いでもなく、選択肢にすら入らない「無」の存在になっていることがうかがえます。現代の若者にとって、紙の雑誌はスマホ時代における「ガラケー」のような位置づけになっているのかもしれません。
また、予想以上に多かったのが、経済的理由を挙げる声です。
「雑誌は高いから」
「（雑誌を買うのは）無駄使いだと感じるから」
「お金がないから」
「お金に余裕がないから」
「SNSだとお金がかからないから」
物価高の影響は若者世代も直撃しています。生活に余裕がない状況では、そこまで興味のない紙の雑誌に投資する優先度は低くなるのは自然なことでしょう。お金で購入するものの優先順位において、紙の雑誌はかなり下位に位置づけられていることが明らかになりました。
さらに、雑誌の内容面での不満も見受けられました。
「欲しいものがないから」
「欲しい雑誌はないから」
「欲しい付録がないから」
現代では趣味嗜好が細分化し、憧れる有名人も多様化しています。雑誌編集者にとって、多数の若者に響くコンテンツを見極めることが難しくなっており、それが雑誌のクオリティに影響している可能性も考えられます。
20.4%の雑誌購入者「推しが出ているから」が主な理由
一方、20.4%の若者は今年、紙の雑誌を「購入した」と回答しています。彼らの購入理由として圧倒的に多かったのが、「推し」に関するものだったといいます。
「推しが出ているから」
「推しが表紙をかざっていたから」
「推しの特集があるから」
「好きなアイドルがモデルだから」
「好きなインフルエンサーの特集があるから」
注目すべきは、
「推しの特集しか読まない」
「推し以外はスルー」
といった意見も寄せられたことです。これらの回答から、雑誌のコンテンツやクオリティより、「推しが登場しているかどうか」が若者の購入判断基準となっていることがわかります。編集者がどれだけ内容を練り上げ、特集を組んでも、そこへのニーズは乏しく、「推しの存在」が最重要ポイントとなっているのです。若者向け雑誌の編集者にとっては厳しい現実といえるでしょう。
その他の購入理由としては、「付録」を挙げる声も目立ちました。
「付録が可愛かったから」
「付録が気に入った」
「付録が欲しかった」
「付録目当て」
こちらも雑誌の内容とは無関係の動機であり、中には「付録が欲しいのにいらない雑誌がついてくる」という極端な意見を持つ若者もいたとのことです。近年、マクドナルドのハッピーセットで「おもちゃ目的」の購入者がバーガーを捨ててしまう問題が話題になりましたが、雑誌の付録についても同様の問題が発生する可能性は否定できません。
現代の若者に紙の雑誌を購入してもらうためには、「推し」と「付録」という2つの要素が生命線となっていることは間違いないようです。
なお、男子高生からは少し異なる視点の意見も寄せられました。
「雑誌特有の匂いが好き」
「週刊文集を買って不倫報道を見たかったから」
「女優のグラビア最高だから」
これらの回答からは、より成熟した趣向も垣間見えます。
調査期間 2025.8.22〜2025.9.6
調査機関 株式会社ワカモノリサーチ
調査対象 全国の15歳～20歳の若者（男女）
有効回答数 931名
調査方法 インターネットリサーチ
出典元：ワカモノリサーチ（株式会社ワカモノリサーチ）プレスリリース
