
日本インフォメーション株式会社は、全国の16~49歳の男女1002名を対象に「Z世代のイマ~変化する消費とお金のカタチ~」という調査を実施し、Z世代とY世代のお金に対する価値観や使い方の違いを明らかにしました。調査期間は2025年3月17日~3月18日です。
物価上昇や将来への不安が広がる中、デジタルネイティブとも呼ばれるZ世代は、お金に対してどのような価値観を持ち、どう使っているのでしょうか。今回の調査ではY世代との比較を通して、Z世代の特徴が分析されています。
この記事の目次
調査概要
調査地域:日本全国
調査対象:16~49歳 男女
調査実施期間:2025年3月17日~3月18日
調査手法:インターネットリサーチ
サンプルサイズ:有効回収計 1002サンプル

Z世代のお金の使い方と向き合い方とは?
物価上昇や将来への不安が叫ばれる現代社会において、若年層のZ世代はお金に対してどのような価値観を持ち、どのような使い方をしているのでしょうか。生まれた時からインターネットに親しみ、デジタルネイティブとも呼ばれる彼らは、身近になった「投資」や「キャッシュレス決済」、「デジタル給与」といった新たな選択肢に敏感に反応しています。この調査ではY世代との比較を通して、Z世代の特徴を詳しく分析しています。
調査結果から得られた主な発見
1.Z世代は、自分の好きなことやものにはお金をかけたい意識があります。一方、Y世代は生活必需支出を節約し投資にお金をかけたい傾向が見られます。
Z世代の多くは「推し活・オタ活」にお金を使っており、今後もっとお金をかけたいと考えています。また、「ファッション」「スキンケア」「メイクグッズ」といった身だしなみに関する費用は削りたくないと考えているなど、自分が価値を感じる分野には出費を惜しまない傾向があります。一方、Y世代は「食費(外食以外)」「スマホ代」「外食費」といった日常的な出費を減らし、投資により多くのお金をかけたいという意識が見られました。
2.Z世代はモノよりもコト消費優先で現状の収入への不満は少なめです。Y世代は貯金や投資などの将来に備える意識が高いです。Z世代も投資に興味はありつつもまだ実施率は低めです。既に実施している人は社会的な意義も求めています。
Z世代は、ブランド品や高価なモノにあまり価値を感じていませんが、「推し活・オタ活」などの体験にお金を使いたいという傾向が強いです。そのため収入に対するこだわりはY世代に比べて低くなく、好きなことのためにお金を稼ごうという意識が見られます。それに対し、Y世代はバブル崩壊や就職氷河期などの不安定な経済環境で育ったこともあり、将来のために貯金や投資をしようという意識が強いと考えられます。ただし、リスク面など身近に情報を得られるようになったからこそ不安を感じて投資を控えているY世代も少なくないようです。
3.Z世代よりもY世代の方がキャッシュレス決済の利用率が高いですが、セキュリティ面に不安を感じています。
Z世代に比べてY世代はキャッシュレス決済の利用率が高いですが、Z世代の方がクレジットカードの保有率が低く事前チャージ型の決済が中心となることが多く、その手間がキャッシュレス決済利用のハードルとなっていると考えられます。一方、Y世代はキャッシュレスに対してセキュリティ面で不安を感じている傾向があります。
4.デジタル給与の利用意向はZ世代の方が高めです。いずれの世代も、利便性だけでなく経済性も重視しています。
デジタル給与の利用意向はZ世代がY世代を上回っていますが、Y世代の方がZ世代よりもセキュリティに対する意識が高く、デジタル給与利用に対して慎重になっていると考えられます。また、Z世代・Y世代ともに利便性だけでなく経済性も重視している傾向が見られます。
主な調査結果
①「好きなことにお金を使いたい」Z世代と「節約・投資思考」のY世代
横軸に「現在お金を使っている」縦軸に「もっとお金をかけたい」として結果を分布し、Z世代とY世代のお金の使いどころを整理しました。その結果、現在も金額をかけていて今後もかけたいものとしてZ世代で特に目立つのは「推し活・オタ活」であり、Y世代に比べてお金を使っている比重もお金をかけたい気持ちも高いことが明らかになりました。また現在はお金を使っていないが、今後お金をかけたいものとしていずれの世代でも「投資」が挙がっていますが、Y世代の方がよりお金をかけたい意識が強いという結果になりました。

反対に、横軸はそのままに、縦軸に「もっと費用を減らしたいもの」を置き、どの消費活動に無駄遣いさを感じているのか比較しました。その結果、Z世代では「推し活・オタ活」がお金をかけたい反面お金を減らしたいものとしても一定数挙がっていました。「推し」のためにより費用をかけたい層と節約対象と見ている層で意見が分かれている様子です。一方で「ファッション」「スキンケア」「メイクグッズ」といった身だしなみに関する項目は、減らすつもりのないものとして分類されました。Z世代は「推し活」にかける費用を減らしたいと考える層もいる一方で、身だしなみにかける費用は減らしたくないという意識が見られました。Y世代での特徴的なものとしては「食費(外食以外)」「スマホ代」「外食費」といった娯楽以外の項目がお金を減らしたいものとして挙がっていました。

②Z世代はモノよりもコト消費を重視する傾向に
Z世代は「物質的なものよりも、体験や経験にお金を使いたい」が男女共にY世代よりも高い結果となりました。また、初任給の金額増などの社会情勢もあってか、Y世代と比べて収入増の意欲は強くはないものの、学校教育の影響かお金の勉強はしている様子がうかがえます。一方、Y世代が高い項目としては「もっと収入をアップしたい」「将来の経済環境(景気、就職状況、収入など)について不安を感じる」「早期から老後資金や非常時のための貯蓄をすることは重要だ」「今すぐの満足よりも将来のため貯蓄を優先したい」などが挙げられます。Y世代には就職氷河期世代も含まれ、今よりも労働時間や退職年齢が延びることは嫌だが収入を上げたい意向はZ世代よりも高めでした。好景気を知らない世代らしく、今後の景気への不安から安定性を重視して貯蓄意識が高い傾向にあります。

③Z世代の投資利用は2割程度にとどまる Y世代の方が積極的な姿勢
投資の利用状況について確認したところ、最も利用率が高いのが「NISA/新NISA/つみたてNISA」で、Z世代男性では2割近く・Y世代男性では3割近くが利用していることがわかりました。次に利用率が高いのが「株式投資(国内株式/海外株式)」で、3番目に利用率が高いのは「投資信託」でした。ほとんどの項目でZ世代よりもY世代の方が利用率が高く、Y世代の方が投資に対してより積極的な姿勢であることがうかがえます。
※Z世代は23歳以上に限定して集計。

④投資は社会的な意義としても位置付けているZ世代
投資に対するイメージを投資利用者ベースで見ると、「将来の生活資金への備え」「貯金のようにコツコツ行うもの」がイメージとして多く挙げられており、特にY世代で将来を見据えた備えが重要視されていることがわかります。Z世代では「ギャンブル・娯楽」「現在の生活資金の補填」「社会の役に立つ」「社会人として当然やるべきこと」といった項目でY世代を上回っており、投資に対して物質的な備え・蓄えだけでなく社会的な意義や目的も求める傾向があると言えます。
※Z世代は23歳以上に限定して集計。

⑤キャッシュレス決済が浸透も年齢的な制約あり Y世代はセキュリティ不安も
キャッシュレスの利用状況について確認したところ、キャッシュレス決済の方が現金利用に比べて主流になってきていることがわかりました。Y世代に比べると、Z世代は男女共にキャッシュレス決済の利用率が低めです。Z世代もスマホ保有率が上がりキャッシュレス決済が身近になったものの、クレジットカード保有率が依然として低いため、事前チャージ型の決済中心になることが多く、事前チャージの手間がキャッシュレス決済利用のハードルとなっているのではないかと考えられます。

キャッシュレス決済に対するイメージとして最も多く挙がっていたのは「支払いが簡単・スムーズである」でした。特にY世代の女性で多く挙がっています。次いで「割引やポイントなどの特典がある」が多く挙がっており、こちらもY世代女性の割合が高めでした。セキュリティ面に着目すると、Z世代は「セキュリティ対策が万全である」と答えた割合がY世代に比べて高く、Y世代は「セキュリティ対策に不安がある」と答えた割合がZ世代に比べて高い結果となりました。Y世代の方が、デジタルネイティブなZ世代に比べてキャッシュレス決済に対してセキュリティ面で不安を抱えていると考えられます。

⑥デジタル給与は消極的な結果に Z世代の方が受容高め
デジタル給与の利用意向を確認したところ、いずれの属性でもデジタル給与利用に対して消極的な人の割合が高い結果になりました。世代別に見ると、Z世代の方がY世代よりもデジタル給与利用に対して積極的であることがわかります。Y世代の方がZ世代よりもセキュリティに対する意識が高く、デジタル給与利用に対して慎重になっているのではないかと考えられます。

デジタル給与の利用意向が高い人の理由について確認したところ、Z世代・Y世代のいずれも「利便性」に関する理由が多く挙げられました。また、いずれの世代でも「ポイントがつく」など「経済性」に関する理由も一定数見られました。

Z世代の価値観とこれからのお金の付き合い方
今回の調査を通じて、Z世代は「好きなことにお金を使いたい」「コト消費を優先したい」「便利な手段を選びたい」といった価値観を持っていることが明らかになりました。年齢的な制約から、投資やキャッシュレス決済の利用率は現時点では比較的低めですが、いずれも関心は高まりつつあります。また、デジタル給与についても積極的に関心を示しており、新しいサービスに対して柔軟な姿勢がうかがえます。今後ライフステージが進む中で、将来を見据えた選択や次世代型金融サービスの活用がさらに進むことが期待されます。
日本インフォメーション株式会社では、今後もZ世代の持つ特徴をテーマ別にレポートし、変化の激しいZ世代の動向をウォッチしていくとのことです。
会社概要
会社名:日本インフォメーション株式会社
所在地:東京都中央区銀座3丁目15-10JRE銀座三丁目ビル4F
代表取締役社長:斎藤啓太
資本金:5,500万円
設立:1969年12月1日
事業内容:マーケティング・リサーチ事業、マーケティングコンサルティング 他
出典元: 日本インフォメーション株式会社 プレスリリース