
世界最大規模のオンライン・マーケットプレイス「eBay(イーベイ)」への出店を通じ、日本セラーの越境EC(海外販売)を支援するイーベイ・ジャパン株式会社が、2025年第1四半期(1-3月)における日本セラー(販売者)から出品されたアイテムの販売動向を発表しました。
この記事の目次
ポイントまとめ
・米関税による不安がある中でも、来年30周年を迎えるポケモンカードを筆頭に、トレーディングカードは飛躍的な成長を見せています
・模造品を識別する「真贋保証サービス」の日本の全セラーへの開放と、対象カテゴリーの拡大により、ハンドバッグのさらなる成長、鈍化傾向にあった腕時計などの高級商材の再熱が見込まれています
・品質を保証する「Refurbished プログラム」が日本の全セラーに開放され、中古カメラはさらなる成長が期待されています
・米国の関税率の変動によっては今後高額商品に影響が出る可能性があるものの、日本商材は依然として根強い人気を維持しています
2025年(1-3月)販売動向の総評と今後の販売予測
2025年第一四半期は、米国政府の関税制度変更への強硬姿勢が明らかになるなど、世界的な経済の先行き不安感の影響を受けて、eBayでの日本商材の販売にも影響が見られました。例年2-4月に発生する米国のタックスリターンによる高額商品の購買意欲の高まりも限定的となり、腕時計やフィルムカメラといった高額商材の伸びが鈍化する結果となりました。
一方で、来年30周年を迎えるポケモンカードなどのコレクティブルズ商材は昨年同期比約2倍という急成長を達成し、メンズのコート・ジャケット類とハンドバッグも大きく成長しています。今年4月からは、無料で高額商品の真贋鑑定を行い、認証された商品のみをバイヤーに届ける「eBay 真贋保証サービス」が日本の全セラーに開放されたことで、ハンドバッグはさらなる成長が期待されています。また、対象カテゴリーが従来のハンドバッグから、ジュエリーと腕時計にも新たに拡大されたことで、鈍化傾向にあった腕時計などの高級商材の再熱が見込まれています。
さらに、比較的低単価なデジタルカメラも継続して順調な伸びを示しており、中古カメラが8割を占める状況です。今年3月末より、商品をリファービッシュ(整備済み)品として証明・出品することができる「eBay Refurbished(保証付き整備品)プログラム」が日本の全セラーに開放されたことで、中古カメラのさらなる成長が期待されています。このプログラムはカメラやオーディオ機器、携帯やパソコン、家電などの電子機器を主力に、日本からの出品の中でも人気の高いビデオゲーム、ギター等の楽器、ゴルフ用品まで、数百に及ぶ幅広いカテゴリーが対象となっており、日本商材全体のさらなる成長が見込まれています。
2025年第1四半期(1-3月)カテゴリーランキング
<取引額TOP10>

・1位がレディースアパレル&バッグ ブランド小物、2位が時計・パーツ&アクセサリーと、昨年同期、昨年年間と同様の結果となっています。
・3位はトレーディングカードが急浮上し、順位を4つ上昇しました。高額商品が売れたことが大きな要因です。
<成長率TOP3>

・トレーディングカードの伸び率が特に顕著になっています。
・デジタルカメラとメンズアパレル&バッグ ブランド小物は、昨年同期、昨年年間と同様にランクインしています。
・デジタルカメラは引き続き、フィルムカメラに追いつく勢いで成長を続けています。
売れ筋の商品
①トレーディングカード


<販売動向>
トレーディングカードは、全カテゴリーの中で最も高い成長率を記録しており、特にポケモンカードが大きく貢献し、海外で高い人気を誇っています。来年ポケモンカードは30周年を迎えるため、さらにポケモンカード市場が白熱する見込みです。また、高額帯のカード取引が大きく伸長し、コレクターや投資家による需要の高まりが顕著になっています。
<注目の商材>
ポケモンボックス 昨年末に発売されたボックス「テラスタルフェスex」は、人気のイーブイがメインキャラクターだったこともあり、今年1月以降も引き続き好調な売れ行きを示しています。毎年年末に発売されるボックスは、売れ行きが上昇する傾向にあります。また、今年1月に発売したボックス「バトルパートナーズ」は、特典のプロモーションカードにより、大きく伸長しています。さらに、今年3月には、プレミアムなポケモンカードが、日本セラーのトレカカテゴリーで、史上最高額の6万ドル(約850万円)で取引され、全体の取引額に大きな影響を与えました。
鑑定済みトレーディングカード PSAなどの鑑定機関による鑑定済みカードは、信頼性と資産性の高さから引き続き堅調な売れ行きを維持しています。特に高評価かつ高額なカードの取引が活発化し、マーケット全体の単価上昇にも貢献しています。
②デジタルカメラ



<販売動向>
デジタルカメラは昨年同期比1.5倍で成長を続けており、中古品が8割を占め、特にコンパクトカメラを中心に好調な売れ行きを示しています。米国のタックスリターンによる購買意欲の高まりや、米国関税政策による価格上昇を見越したパニック買いの影響もあり、今年3月末は特に売上を伸ばしました。また、日本から出品されている中古カメラは非常に良好な状態で、セラー側で漏れなく点検・整備されていることが多く、これが海外からの高い人気の背景となっています。今年3月に「Refurbished プログラム」が日本の全セラーに開放されたことで、中古カメラの売上はさらに加速すると見込まれています。
<注目の商材>
引き続きCanonのPower ShotシリーズとSonyのCyber Shotシリーズなどのコンパクトデジタルカメラが高い人気を誇っています。大型な一眼レフカメラに匹敵する性能を持ちながら、旅先で難なく持ち運べるサイズ感と、デジタルデータを瞬時に他デバイスに共有できる容易さが人気の背景となっています。
③メンズアパレル&バッグ ブランド小物



<販売動向>
スニーカーは安定した売り上げで着実に成長を続けています。また、コート・ジャケット類とハンドバッグが昨年同期比約1.5倍という大きな伸びを示しています。今年4月より「真贋保証サービス」が日本の全セラーに開放されたことで、ハンドバッグはさらなる成長が期待されています。
<注目の商材>
スニーカーにおいては、アイテムとしてはOnitsuka TigerのMexicoがトップを牽引していますが、ブランドとしてはNikeとAsicsが大きなシェアを獲得しています。また、ハンドバッグは、Louis VuittonやTUMIのベーシックな商品から希少価値の高い高額アイテムまで幅広く人気を集めています。さらに、アパレルでは、Uniqlo、Gucci、A Bathing APE等、非常に幅広いブランドが全体的に売れており、スポーツウェアではMizunoがトップにランクインしています。
イーベイ・ジャパンの今後の施策について
eBayは全世界190以上の国と地域に販売網を持つ世界最大級のプラットフォームです。eBayにおける日本からの販売額は5年連続で成長率1位(社内比)を記録しており、「駿河屋」や「夢展望」、「渋谷PARCO」、「ブックオフ」などの国内物販大手も、海外販路拡大を目指してeBayに出店するなど、eBayは活況を呈する日本の越境EC市場をリードしています。
このような状況の中、米国でのトランプ政権再始動により、イーベイ・ジャパンは新たな局面を迎えています。今年4月には新たな関税措置が発表されるなど、輸出入に関する様々な政策が次々と打ち出される中、日本からの輸出における影響を慎重に見守っているとのことです。政策によっては、プラス面とマイナス面の両方がある可能性があるため、状況を静観しつつ、適切な対応ができるよう準備を進めているようです。現時点では、日本商材への影響は限定的ですが、今後の関税率の変動によっては高額商品に影響が出る可能性があります。
一方で、日本のコンテンツや商材は引き続き世界中で高い評価を受けており、この需要は今後も続くと見込まれています。こうした流れを受けて、イーベイ・ジャパンではセラーの皆様の海外販売をさらに後押しするため、サービスとサポート体制を一層強化していく方針だそうです。具体的には、「Refurbished プログラム」と「真贋保証サービス」の日本セラーへの開放を通じて、より安心・安全な取引環境を整備し、使いやすいマーケットプレイスの実現を目指しています。さらに、SpeedPAKとeBaymagの機能拡充により、アメリカ以外の市場への販路拡大も強化していくとのことです。これらの取り組みを通じて、日本のセラーが世界市場でより活躍できる環境づくりを進め、持続的な成長をサポートしていく考えだと発表されています。
出典元:イーベイ・ジャパン株式会社 プレスリリース