SGホールディングスグループの佐川急便株式会社(本社:京都市南区、代表取締役社長:笹森公彰)は、関西国際空港の倉庫エリアに「SAGAWAグローバルECセンター関西」を新たに設置し、2025年4月11日より運用を開始したことを発表しました。同センターは、海外と日本を繋ぐ重要なゲートウェイとして機能し、越境EC市場の成長に対応する重要な拠点となります。
このセンターは、佐川急便りんくう営業所が管轄する機能と、SGHグローバル・ジャパン株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:三古健二)の保税蔵置機能を併せ持つ複合施設です。物流効率化と環境負荷低減を目指し、グループ内で初めて採用した保税エリアと国内仕分けエリアの一体化によって、シームレスな物流サービスを実現します。
この記事の目次
SAGAWAグローバルECセンター関西の主な特長
今回新設された「SAGAWAグローバルECセンター関西」の最大の特徴は、SGHグローバル・ジャパンが管轄する保税蔵置場と佐川急便が管轄する国内仕分けエリアがベルトコンベアで直接接続されている点です。SGホールディングスグループでは初の試みとなるこの構造により、通関手続きから国内配送までのプロセスをシームレスかつ効率的に行うことが可能になりました。
従来は保税エリアと国内仕分けエリアが分離されていたため、通関手続き後に改めて仕分け作業が必要でしたが、新センターでは一連の作業を連続して行うことができます。この一体化によって作業効率が大幅に向上し、海外からの商品をより迅速に国内消費者へ届けることが可能になりました。
佐川急便にとっての効果と今後の展望
佐川急便にとって、同センターの設置と自動化設備の導入は大きなメリットをもたらします。最も顕著な改善点は、従来2回に分けて行っていた仕分け作業が1回で完了する効率的なスキームが実現したことです。これにより作業時間が短縮され、人的リソースの最適化が可能になりました。
また、自動化された仕分け設備の導入により、仕分け効率と従業員の作業効率が共に向上し、全体的なリードタイムの短縮も実現しています。これは顧客満足度の向上につながるだけでなく、物流コストの最適化にも貢献する重要な改善です。
今後の展望としては、取扱個数の増加を見据えた戦略的な取り組みも計画されています。具体的には以下の施策が検討されています。
- 車両の積載効率向上による配送の最適化
- 車両台数の適正化によるCO₂排出量の削減
- 集荷締切時間の延長による顧客の利便性向上
- 24時間体制の構築による柔軟な対応力の強化
これらの取り組みにより、環境負荷の低減と顧客サービスの両立を目指しています。特に集荷締切時間の延長は、EC事業者にとって出荷の柔軟性を高める重要な要素となるでしょう。
SGHグローバル・ジャパンにとっての効果と戦略
SGHグローバル・ジャパンは、国際貨物事業と物流倉庫事業を主業務としており、同センターの開設によって海外のEC事業者に対するサービス品質の向上が期待されています。具体的には、通関許可から国内発送までの一連のプロセスをセンター内で完結できることが大きな強みです。
センター内に設置された保税蔵置場の自動通関許可判別仕分機と国内仕分けエリアの自動仕分機をシームレスに連結することで、業界最短クラスのリードタイムを実現しています。これにより、海外から日本の消費者への配送時間を大幅に短縮することが可能になりました。
SGHグローバル・ジャパンは、今後も急速に成長を続ける越境EC市場に対して、顧客の要望に応じた戦略的な投資を継続する方針です。特にアジア圏からの輸入商品の増加に対応するため、処理能力の拡充や通関手続きの効率化などを進めていくことが予想されます。


海外と日本を繋ぐ新たな物流ハブの役割
関西国際空港に設置された「SAGAWAグローバルECセンター関西」は、単なる物流施設ではなく、国際的な物流ネットワークの重要なハブとしての役割を担っています。特に関西国際空港という立地は、アジア各国からの直行便が多数就航しており、国際物流の要所として機能することが期待されています。
海外からの輸入品が日本国内に流通するまでの過程では、通関手続きや保税管理、国内向けの仕分け作業など、複数の工程が必要です。これらの工程を一か所で効率的に行うことができる同センターの存在は、物流の効率化と迅速化に大きく貢献するものです。
特に近年急速に拡大している越境EC市場においては、配送のスピードと正確性が重要な競争力となっています。同センターは、これらの要求に応えるための戦略的な投資と位置づけられています。
物流DXによる業務効率化の実現
「SAGAWAグローバルECセンター関西」では、最新の物流技術を活用した業務効率化も進められています。自動仕分け機や自動通関許可判別仕分機といった先進設備の導入により、人手に依存する作業を削減し、処理速度の向上と正確性の確保を実現しています。
また、システム面でも通関情報と配送情報を一元管理するためのプラットフォームが整備されており、リアルタイムでの貨物追跡や状況把握が可能となっています。これにより、顧客に対してより詳細な配送状況の情報提供が可能になり、サービス品質の向上にもつながっています。
このような物流DXの取り組みは、単に作業効率を向上させるだけでなく、データに基づいた物流戦略の立案や最適化にも役立てられています。今後は蓄積されたデータを活用した予測物流や需要予測なども視野に入れた展開が期待されます。
物流における環境負荷低減への取り組み
SGホールディングスグループは、物流業界における環境負荷低減にも積極的に取り組んでいます。「SAGAWAグローバルECセンター関西」においても、車両の積載効率向上や車両台数の適正化によるCO₂排出量削減が重要な目標として掲げられています。
具体的には、センター内での効率的な仕分けと積み付けにより、配送車両の積載率を向上させることで、必要な車両数を削減し、CO₂排出量の抑制を図っています。また、将来的には配送車両の電動化や再生可能エネルギーの活用なども検討されており、環境に配慮した物流拠点としての機能強化が進められています。
さらに、包装資材の削減や再利用可能な梱包材の採用など、物流におけるエコロジカルな取り組みも推進されています。これらの取り組みは、持続可能な物流システムの構築に向けた重要な一歩と位置づけられています。
総合物流企業グループとしての強みを活かした展開
佐川急便とSGHグローバル・ジャパンは、SGホールディングスグループという総合物流企業グループの一員として、それぞれの専門性を活かしながら連携したサービス提供を行っています。「SAGAWAグローバルECセンター関西」は、この連携の象徴的な施設と言えるでしょう。
国際物流と国内物流の垣根を越えたシームレスなサービス提供により、顧客は輸入から国内配送までをワンストップで依頼することが可能になります。これにより、複数の業者に依頼する際の手間や調整コストを削減することができ、物流全体の最適化が実現します。
両社は今後も、総合物流企業グループとしての強みを最大限に活かし、お客さまのニーズに応えるサービスの開発・提供と社会貢献に寄与する取り組みを継続していくとしています。特にテクノロジーの活用による物流革新と環境負荷低減の両立は、グループ全体の重要な方針として推進されていくことでしょう。
出典元:佐川急便株式会社 プレスリリース