
株式会社Helpfeel(所在地:京都府京都市、代表取締役/CEO:洛西 一周)が、企業内部の情報を横断的に解釈し、意思決定を支援する「自律型AIエージェント」のリリースを2025年内に予定していると発表しました。このAIエージェントは、エンタープライズ企業の複雑な業務に対し、知識を基にした分析と提案を行い、業務の効率化を図ります。迅速な意思決定を促進し、生産性の向上に寄与することが期待されています。今後は、海外市場にも注力するグローバルな戦略を推進する方針です。
※1:AIエージェントとは、事前に設定された目標に対し、自律的に実行計画を構築し、遂行して目標を達成するソフトウェアプログラムを指します。
この記事の目次
開発の背景〜AIの役割の変化:情報の「発見」から「活用」へ
日本経済の停滞を背景に、多くの企業が生産性向上を目的にAI技術の導入を模索しています。特に人手不足の状況下で、業務代替を期待されるAIエージェントのニーズが高まっていますが、業務の変革に結びつく具体的な活用事例は少ないのが現状です。
同社には、iPhoneの日本語フリック入力システムの開発に貢献した技術者や、自然言語処理(NLP)の専門家が多く在籍。これらの強力な技術基盤を生かして独自の検索エンジンを開発し、検索型AI-FAQ「Helpfeel(ヘルプフィール)」をはじめとしたITサービスを展開しています。最近では、AI技術を組み合わせた検索エンジンにより、大企業の膨大な情報を効率的に検索できる支援を行っています。
こうした背景を踏まえ、同社は企業の知識活用をさらに進めるため、「発見」した情報や知識を「分析・活用」するAIエージェントの開発に注力しています。

AIエージェントがエンタープライズ企業の知識活用を促進し、社員の創造性を拡張
企業内部には、規定や製品情報などの確定的な情報のみならず、マニュアル、ナレッジベース、社内Wiki、FAQ、議事録、対応記録などの流動的な情報が豊富に存在します。
通常、複雑な業務に対しては、まず必要なタスクを整理し、順番に社内情報や公開情報を参照し、データを抽出・整理し、比較・分析を経て、最終的に意思決定を行う段階的なプロセスが必要です。
現在開発中のAIエージェントは、目的を明確化することで、情報を信頼性や文脈を考慮して整理・分析し、意思決定のための推論や提案を行います。このAIエージェントがタスクの分解や分析・考察を自動化することで、社内の情報が最大限に活用され、社員は迅速かつ的確な判断が可能になります。これによって、企業内部に蓄積された情報が効率的に活用され、社員はより創造的で付加価値の高い業務に集中できるようになります。
同社は、AIを人間の仕事を奪うものではなく、思考や創造性を拡張するパートナーと位置づけています。今後も未来の創造性をサポートするAIを社会に実装し、人間の可能性を最大限に引き出すことを目指します。
開発体制とAI研究を牽引するキー人物
アカデミックなバックグラウンドと特許技術を持つ高い技術力に加え、先進的なAI技術に特化した専門知識を持つ「AI事業室」がこのAIエージェントの開発を推進しています。

株式会社Helpfeel 代表取締役/CEO
洛西 一周
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。人間味のあるプログラム作りを標榜し、高校時代に作成した紙copiは数十億円の売上を記録。2007年にシリコンバレーにNota, Inc.を設立し、グローバルマーケットでのアプリやウェブの開発に成功を収める起業家。2020年に現在の会社(以前の社名:Nota株式会社)を設立し、2003年度にはIPA未踏ソフトウェア創造事業で「スーパークリエータ」として認定されています。
株式会社Helpfeel 執行役員 CTO/開発本部長
秋山 博紀
慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。11歳からソフトウェア作家として活動を開始、2005年には経済産業大臣賞を受賞。2008年度にはIPA未踏ソフトウェア創造事業にて選ばれた。大学院ではユーザーインタフェース及びインタラクションデザインの研究に従事し、スタートアップの共同創業および大企業での経験を経て、2015年に当社に参画、2022年からCTOとして開発チームをマネジメント。
株式会社Helpfeel AI事業室 マネージャー兼AIエキスパートエンジニア
寺本 大輝
在学中にゲームを通じプログラミングを学ぶ教材を開発し、石川県金沢市で起業。NICT起業家甲子園で総務大臣賞を受賞。2015年度にはIPA未踏ソフトウェア事業でスーパークリエータに認定。生成AI・LLMを用いたFAQサジェスト機能をゼロから開発、運用を一貫して担当し、AIエージェント「Devin」の利用記録を公開しています。
株式会社Helpfeel AI事業室 AIエンジニア
飯塚 大貴
電気通信大学大学院でナレッジグラフとセマンティックWebの研究に従事し、AI技術やRAGモデルに関する高い専門性を持つ。特に、大規模言語モデル(LLM)と情報検索技術を統合した先進的なRAGシステムの開発・最適化に精通し、最近はAI-FAQに関する最先端RAG「意図予測検索3」の開発に従事。
株式会社Helpfeel AI事業室 AIエンジニア
SAIER Tarek(ザヤ タレク)
ドイツのカールスルーエ工科大学にて博士号を取得し、情報検索やセマンティックWeb分野を専門に学ぶ。検索システムや機械学習の研究に従事し、同大学で教員としてこれらの技術に関わってきました。2024年7月に当社に加わり、ベクトル検索の性能評価や検索機能の向上に取り組む。
「Helpfeel AI」について
同社は慶應義塾大学環境情報学部の教授であるテクニカルフェローの増井や、経済産業省の「未踏IT人材発掘・育成事業」で選ばれたエンジニアが在籍し、プロダクトの研究開発を積極的に進めています。
数年前から高度な自然言語処理(NLP)、特になナレッジグラフや生成AIに関するアルゴリズムの研究開発に力を入れています。AIによる情報漏洩やハルシネーションから企業の信頼性を守りつつ、正確な情報を提供する「制御可能なAI」という理念のもと、包括的なデータ編集・分析・改善環境と、誰にも使いやすい検索インターフェースの開発に力を注いでいます。AI機能群「Helpfeel AI」は、AI事業室が中心となり、開発が進められています。
今後はAIエージェントの機能拡張に向けた新技術や製品の研究開発にも力を入れていく方針です。

検索型AI-FAQ「Helpfeel(ヘルプフィール)」について
AI検索で問い合わせ削減も、顧客体験の向上も。
FAQ市場において業界No.1の成長率を誇るAI-FAQ「Helpfeel」は、特許技術を駆使し、エンドユーザーの意図を予測して自己解決を促進。AI検索を通じて最適な顧客支援を実現し、問い合わせ削減と顧客体験の向上に寄与しています。2024年12月時点で、500以上のサイトに導入されています。
※2:出典 富士キメラ総研「2025 生成AI/LLMで飛躍するAI市場総調査」

株式会社Helpfeel 概要

株式会社Helpfeelは、2007年にシリコンバレーに設立されたスタートアップ企業です。CEOの洛西 一周は経済産業省IPA未踏ソフトウェア創造事業において天才プログラマーに認定され、iPhoneの日本語フリック入力システムを手がけた増井 俊之と共に設立しました。
Helpfeelは「情報格差(ナレッジギャップ)」という社会課題に取り組み、三つのクラウドサービスを提供しています。
- AI検索で問い合わせ削減とCX改善を実現する「Helpfeel(ヘルプフィール)」
- ドキュメント文化を育む知識ベース「Helpfeel Cosense(コセンス)」
- 画像や動画を瞬時にキャプチャし共有するツール「Gyazo(ギャゾー)」
出典元:株式会社Helpfeel プレスリリース