2025年の食品価格、値上げ品目数1万品超に 原材料費や人件費が影響

株式会社帝国データバンクが、2024年2月以降の食品価格の値上げ動向について詳細な分析を行ったことを報告します。

調査結果(要旨)

2025年2月には飲食料品の値上げ品目数が1656品目に達し、前年同月比で30品目(1.8%)の増加が確認されました。

食品のカテゴリー別では、加工食品が589品目と最も多く、顕著な結果となっています。

2025年の年間累計値上げ品目数は8867品目に達し、前年と比較して約90%の増加と推移しています。

飲食料品に関する値上げの傾向は、前年よりも一層強化されていることが分かります。

[注] ここで示される品目数および値上げは各企業の公式発表に基づいています。また、複数回値上げがあった品目は、個別品目としてカウントしています。

値上げ率は発表時の最高値を採用しており、価格の据え置きや内容量の減少による「実質値上げ」も分析対象に含まれています。

2025年の年間値上げ品目数は8867品目に達し、平均値上げ率は16%に達しました。2024年1月31日時点で確認された年間値上げ予定品目数(4556品目)に比べ、90%以上の増加を記録しています。2025年春には、大幅な値上げの時期が訪れると予測されており、コメ、チョコレートの主成分であるカカオ豆、コーヒー豆の価格高騰がその要因となり、関連商品でも値上げが続く見込みです。2025年3月には2024年10月以降、5カ月ぶりに単月で2000品目を超えると見込まれ、さらに4月には2023年10月以来1年半ぶりに3000品目を超えることが予測されています。

値上げの要因としては、原材料によるものが大半を占めていますが、人件費や物流費などの上昇による値上げも影響し、全体の品目数が押し上げられています。2025年の値上げ要因は「原材料高」が最も多く、97.6%に達しており、3年連続で全体の90%を超えています。一方、トラックドライバーの時間外労働規制の影響により、輸送コストが上昇し、これによる値上げは79.4%で過去最高レベルです。また、賃上げや最低賃金の引き上げにより人件費の影響を受ける品目数は50.9%となり、初めて半数を超えました。「エネルギー」由来の値上げは56.6%、さらに「円安」由来の値上げは15.2%で、前年を下回っています。

今後の見通し

4月には年累計で1万品目を超える予想、年間で2万品目に達する可能性も

現在、1ドル150円台の円安が続いており、輸入食材を中心に値上げ圧力が高まっています。さらに、世界的な気候不良の影響で、一部の作物(コーヒー豆、カカオ豆)において収穫不足が続いており、関連商品でも年内に複数の値上げが見込まれています。原材料に起因する値上げやプラスチック容器などの包装資材、物流費や人件費などのサービス原価の持続的な上昇が避けられない状況です。

この状況下で、2025年の値上げの動向には原料米を中心とした米飯類の製品など大幅な価格改定が予測されます。全体として値上げの動きが抑制された前年に比べ、企業によるコスト吸収の限界が近づいている兆候が見えます。今後、円安により輸入物価が上昇し、賃上げによる人件費増加も重なり、値上げ圧力が緩和されるのは難しいと考えられます。実質賃金の低迷も影響し、小売店などで消費者の値上げに対する反発が強まり、販売量が減少する可能性がありますが、少なくとも今年の夏までは大幅な価格上昇が伴う値上げが続く可能性が高いです。

また、2025年の値上げ品目数はこのまま進めば、早ければ4月に年間累計で1万品目を超えると見込まれており、年間では前年の1万2520品目を大幅に上回る1.5万〜2万品目に達する可能性があるとしています。

出典元: 株式会社帝国データバンク プレスリリース

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