
マーケティング担当者向けの調査を行った株式会社PRIZMAが、公式SNSアカウントを通じてYouTubeやTikTokを利用している504名のマーケティング担当者を対象に実施した"企業のマーケティングにおける動画活用の実態調査"の結果を発表しました。
近年、企業のマーケティング活動で動画の活用が増えてきており、特にYouTubeやTikTokはブランド認知や顧客獲得において重要な役割を果たしています。
この調査では、企業がどのようにこれらのプラットフォームを活用しているか、その背景や施策、広告効果について詳細に分析し、特に企業の公式チャンネルや広告利用についての参考情報を提供しています。
この記事の目次
調査設問
Q1. 貴社の業界を教えてください。
Q2. 主に動画を配信している媒体を教えてください。
Q3. その媒体を運営する目的は何ですか?(複数回答可)
Q4. YouTubeで実施している具体的な活用方法を教えてください。(複数回答可)
Q5. YouTubeの活用において効果を最も感じた形式を教えてください。
Q6. 各活用方法を選択した理由を教えてください。(複数回答可)
Q7. TikTokで実施している具体的な活用方法を教えてください。(複数回答可)
Q8. TikTokの活用において効果を最も感じた形式を教えてください。
Q9. 各活用方法を選択した理由を教えてください。(複数回答可)
Q10. 自社アカウントではどのようなコンテンツを発信していますか?(複数回答可)
※原則として小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
以下に調査結果の一部を紹介いたします。
企業のマーケティングにおける動画活用の業界実態は?
まず、「Q1. 貴社の業界を教えてください」と尋ねたところ、『テクノロジー/IT業界(16.1%)』が最も多く、『小売業界(14.5%)』、「製造業界(11.3%)」や「教育業界(7.5%)」が続きました。

テクノロジー/IT業界や小売業界は、動画マーケティングに積極的に取り組んでいることが伺えます。また、製造業やエンターテインメント業界にも一定の割合があり、動画活用が広がりつつあることがわかります。
主に動画配信している媒体は、YouTubeが約6割・TikTokが約2.5割。業界別では差異も見られる
さらに、「Q2. 主に動画を配信している媒体を教えてください」と尋ねると、『YouTube(61.3%)』が最多で、続いて『TikTok(25.6%)』、『自社Webサイトの埋め込み動画(12.3%)』と回答されました。

また、業界別に見ると、ほとんどの業界で「YouTube」が主な配信媒体とされ、特にテクノロジー/IT業界(81.5%)や製造業界(79.0%)では際立っていました。
一方で、「TikTok」は教育業界(47.4%)で「YouTube」を上回る結果となり、教育分野のユーザー層には若年層が多いことが背景にあると考えられます。
全体的に「自社Webサイトの埋め込み動画」の利用率は低いですが、メディア・エンターテインメント業界では「TikTok」と同程度の(25.0%)利用が見られました。
動画配信媒体を運営する目的は『自社ブランドの認知向上』が最多
次に、「Q3. その媒体を運営する目的は何ですか?」との質問に対して『自社ブランドの認知向上(55.6%)』が最も多く、続いて『新規顧客の獲得(36.5%)』、『既存顧客とのエンゲージメント向上(27.4%)』と回答されました。

多くの企業が動画によるマーケティングで「ブランド認知向上」や「新規顧客の獲得」という基本的な目的に取り組んでいることが示されています。
加えて、トレンドを重視したり、既存顧客との関係を強化しようとする企業も多く見受けられました。
YouTubeの具体的な活用方法と効果を徹底調査
ここでは、Q2で「主に動画を配信している媒体」に「YouTube」と回答した方に、具体的な活用状況について伺いました。
「Q4. YouTubeで実施している具体的な活用方法を教えてください」と質問したところ、『YouTube広告(インストリーム)(51.5%)』が最も多く、続いて『自社公式チャンネルの運用(50.2%)』、『YouTube広告(ディスカバリー)(33.7%)』と続きました。

さらに、「Q5. YouTubeの活用において最も効果を感じた形式は?」との質問には、『自社公式チャンネルの運用(39.2%)』がトップで、続いて『YouTube広告(インストリーム)(32.0%)』、『YouTube広告(ディスカバリー)(15.5%)』が挙げられました。

この調査により、YouTubeでは「インストリーム広告」と「自社公式チャンネルの運用」が特に頻繁に利用されていることが浮かび上がりましたが、実際の効果をより強く感じるのは「自社公式チャンネルの運用」であることが明らかになりました。
その理由については、「Q6. 各活用方法を選択した理由」で得られたデータにおいても示されており、自社公式チャンネル運用では「動画視聴完了率が高い(51.2%)」が主な理由であり、「クリック率(30.6%)」や「コンバージョン直接見込(21.5%)」も挙げられました。

YouTube広告(インストリーム)においては「クリック率が高い(34.3%)」「コンバージョンあたりへの影響が高い(33.3%)」の評価があり、「ブランド認知向上(29.3%)」が後を追いました。
YouTube広告(ディスカバリー)では「クリック率」「ターゲット層への到達度」が重視されていることが伺えます。
また、YouTube広告(バンパー)においては「コンバージョン直結(73.7%)」が最も多く、「ターゲット層へのリーチ(47.4%)」や「クリック率(36.8%)」が続きます。
ここまでの結果から、各利用方法が様々な目的や効果に応じて選択されていることが明らかになり、特に「視聴完了率」や「CTRの高さ」、「ターゲット層へのリーチしやすさ」が選択理由として重要視されている点が浮き彫りになっています。
TikTokの具体的な活用方法と効果を徹底調査!
ここからは、Q2で「主に動画を配信している媒体」に「TikTok」と回答した方に、活用実態について詳細をお聞きしました。
「Q7. TikTokでの具体的な活用方法を教えてください」との問いには、『TikTok広告(インフィード)(39.5%)』が最も多く、次いで『TikTok広告(ブランドオークション)(38.8%)』、『自社公式アカウントの運用(30.2%)』が挙げられました。

TikTokでは特に「ブランドオークション広告」や「インフィード広告」の活用が多く、効果が高いと認識されています。また、自社公式アカウントの運用は、ブランドの認知度向上に焦点を当てていることが伺えます。
「Q9. 各活用方法を選択した理由を教えてください。」という質問には、各形式について以下の通り回答が得られました。

自社公式アカウントの運用においては、「クリック率(34.5%)」や「クリエイティブの自由度の高さ(31.0%)」が評価される傾向が見られました。
TikTok広告(インフィード)では、「クリック率(38.7%)」が最も多く、「ブランド認知向上(29.0%)」や「コンバージョン直結(25.8%)」などが挙げられています。
TikTok広告(ブランドオークション)では、「コンバージョン直結(38.2%)」が最多回答で、「クリック率(32.4%)」が続きました。
TikTok広告(起動画面広告)では、「コンバージョン直結(47.1%)」が多く見られ、「ブランド認知向上(41.2%)」も重要なトピックです。
TikTok広告(ハッシュタグチャレンジ広告)に関しては、「クリック率(35.7%)」と「コンバージョン直結(35.7%)」が同率で挙げられました。
TikTok広告(ブランドエフェクト)については、「視聴完了率(25.0%)」「コンバージョン直結(25.0%)」が同等に評価されています。また、TikTokクリエイターとのコラボレーションでは「コストパフォーマンス(50.0%)」や「短尺動画の効果(50.0%)」が理由に挙げられました。
これらの結果は、各形式が目的とされる効果に応じて選ばれていることを示しています。特に「インフィード広告」と「ブランドオークション広告」は高い実用性を持ち、コンバージョンやターゲット層へのリーチで高く評価されています。
自社アカウントにおける発信コンテンツとは?
最後に、Q4で「自社公式チャンネルの運用」、Q7で「自社公式アカウントの運営」と回答した方に、自社公式アカウントで発信しているコンテンツについてもお尋ねしました。
「Q10. 自社アカウントではどのようなコンテンツを発信していますか?」との問いには、次の結果が得られました。

YouTubeにおける「自社公式チャンネルの運用」では、『製品・サービスの紹介動画(71.0%)』が圧倒的に多く、次に『会社のビジョンやブランドストーリーを伝えるコンテンツ(42.6%)』、『業界トレンドやノウハウを共有する教育的コンテンツ(33.3%)』、『お客様の声(レビューや事例紹介)(30.8%)』が上位に挙げられました。
これらのデータを通じて、YouTubeでは製品紹介やブランドストーリーの情報提供を重視している一方、TikTokでは製品紹介に加えてユーザーの声や教育的コンテンツを積極的に活用していることが分かります。
まとめ
今回、株式会社PRIZMAによる調査は、企業の公式SNSアカウントでYouTubeやTikTokを活用しているマーケティング担当者504名を対象に実施されました。この調査で、2つの主要な動画プラットフォームが企業のマーケティングにどのように寄与しているかが明らかになりました。
YouTubeは多くの業界で主要な動画配信メディアとして機能しており、特に「インストリーム広告」と「自社公式チャンネルの運用」が利用されています。「自社公式チャンネルの運用」は、視聴完了率やクリック率の高さに支えられ、最も効率的であると評価されています。
一方で、TikTokは特に若年層へのリーチを強みとし、多くの企業が「インフィード広告」や「ブランドオークション広告」などを利用しています。TikTokの「自社公式アカウントの運用」では、ブランドを中心とした強力なエンゲージメント構築が見受けられます。
この調査結果は、動画マーケティングの戦略を考える上で貴重なインサイトを提供します。企業が自らのマーケティング目標に合った施策を展開することが重要であり、特にプラットフォームの特性に応じた柔軟な対応が求められます。
出典元: 株式会社PRIZMA プレスリリース