電通ジャパン・インターナショナルブランズ(本社所在地:東京都港区、代表者:堀尾 尚弘)は、デジタル広告における「アテンション」(広告への関心・注目度)がブランドの想起、エンゲージメント及び選択に与える影響を探るため、主要プラットフォームのMobkoi、Ogury、Teads、Twitchなどと提携し、Lumen ResearchおよびRealeyesとの協力により、最新のVision AI及び視線計測技術を駆使した大規模な調査を実施しました。

本調査は、米国・英国・豪州で行われたdentsuの「Attention Economy(アテンションエコノミー)」調査を基に、日本市場に特化したアテンションエコノミー調査レポートの完成を目指すものでした。

広告効果における新指標:アテンションエコノミー

本調査では、デジタル化が進展する広告業界において、有効性を重視した新たな価値基準のもと、アテンションを新たな指標として定義しています。収集されたデータはキャンペーン効果に直接影響を与えることが示されました。

■調査内容:

本調査は、アテンションを「能動的」「受動的」「なし」の3タイプに分類し、以下の2つの仮説をもとに実施されました。

1. 広告を視認していない場合、広告効果は見られない。

2. 広告に長く留まるほど、効果が増加する。

日本国内の8000人以上のモバイルユーザーを対象に、ディスプレイやリッチメディア、SNSなど7種類の広告フォーマットを用いてユーザーの視線を追跡しました。視線の追跡、視覚的注意、表情データは45種類以上のクリエイティブから収集され、参加者によるアンケート結果と併せて分析が行われました。この調査の目的は、日本のモバイル使用環境におけるアテンションの実態を把握することであり、非ラテン系言語の使用や日本特有のデザイン傾向が考慮されています。

■アテンションの評価指標:

アテンション評価のためには、以下の3つの指標が使用されました:

1. 視聴率(Viewed Percentage)

2. 平均視聴時間(Average Viewed Time)

3. 1000インプレッションあたりのアテンション(Attention per mile, APM)

計算式: 視聴率 × 平均視聴時間 × 1000 = APM

視聴率、視聴時間およびインプレッションを総合したAPM指標により、広告の効果を高精度で評価できることが実証されました。

■調査結果:

  • 長時間の広告視聴はブランド想起率を向上させる

データからは、アテンションの獲得とブランド想起には明確な正の相関があり、視聴時間が長いほどブランドの想起率が上がることが判明しました。例えば、広告を1秒未満しか視聴しなかった場合、想起率は21%でしたが、10秒以上視聴した場合は41%に達しました。また、視聴時間別の効率的は1~3秒及び3~6秒に導き出され、視聴時間が改善されるに伴い、ブランド想起率はそれぞれ14ポイント及び29ポイント向上する結果が得られました。

  • 自発的アテンションがブランド想起を促進する

ユーザーが自ら広告の視聴を選択できる「自発的アテンション」を持つ広告は、「強制的アテンション」(例:スキップ不可の動画)を用いた広告よりも、ブランド想起と選択のスコアで高い結果を示しました。自発的に広告を5~10秒間視聴した場合、強制視聴と比べて18ポイントの上昇を見せ、さらに10秒以上視聴した場合は79ポイントの上昇を示しました。

  • 広告クリエイティブの最適化とマルチプラットフォーム戦略が重要

リッチメディアフォーマットは、グローバル平均と同等の反応率を示し、さらに高いブランド想起率を得ることができました。この効果が日本のユーザーエンゲージメントにおいて持続的な効果をもたらすことが期待されています。しかし、強制視聴型フォーマットでは、すべての広告フォーマットにおいて反応率が向上したものの、強制的アテンションはユーザーにネガティブな感情を与える可能性があり、ブランドの想起に悪影響を及ぼす恐れもあるため、強制視聴と非強制視聴の適切なバランスが求められます。

  • アテンションを左右する5つの要因

アテンションに影響を与える要因として「ビューアブル時間」「強制視聴」「広告の長さ」「動き」「サイズ」が挙げられ、各メディア環境においてアテンションの獲得に影響を与えます。クリエイティブ特性とメディア環境の適合性も、アテンションの取得およびその後の成果に大きく関与しています。これらの要素を理解し活用することで、オーディエンスのアテンションを高める効果が期待できるとされています。

本調査専用に開発されたモデルを用いることで「視聴確率」の評価が行われ、新たな広告効果や有効性を測る指標としてアテンションを考慮した広告配信とクリエイティブ開発が行われることで、マーケティング活動がより効果的になることが期待されています。

電通ジャパン・インターナショナルブランズは、主要な広告主やメディア社との協力により、デジタルマーケティングの革新を促進するために新たなソリューションに積極的に投資を行い、購入よりも達成されるものに重きを置く新しい価値体系を導入し、業界内の従来の取引方法に挑んでいます。その価値はメディア指標の範囲を超え、マーケティング及びビジネス領域でも評価されていく見通しです。今後もブランドエクイティを向上させるための包括的なマーケティング戦略ソリューションを提供していく意向です。

出典元:電通ジャパン・インターナショナルブランズ

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