3人に1人がAI活用で失敗も9割以上が今後も継続意向、LiKGの生成AI業務活用実態調査

株式会社LiKGが、生成AIを仕事で活用している全国のビジネスパーソン200名を対象に「生成AIの業務活用と"しくじり"実態調査」を実施したことを発表しました。

調査結果によると、3人に1人が生成AI活用での失敗経験があると回答し、業務での活用が広がる一方で、その使い方やリテラシーの重要性が浮き彫りになっています。しかし注目すべきは、活用している人の9割以上が「今後もAIを活用したい」と前向きな姿勢を示していることです。この結果から、AIとの共創時代の兆しが見えてきたと言えるでしょう。

定型業務の効率化分野での利用が多くを占める

生成AIの活用内容として最も多かったのは「業務効率化(時間短縮)」で62%でした。次いで「文章作成・要約」(61%)、「アイデア出し・企画書作成」(52%)が上位となっています。また「プログラミング・コード生成」(41%)も一定の割合を占めており、IT部門に限らず様々な職種で幅広く活用が進んでいることが調査から明らかになっています。

一方で、「画像生成・デザイン」(18.5%)や「動画生成」(7%)の利用はまだ限定的な結果となっています。

図2:生成AIでの失敗体験率

AI活用において「失敗した」と回答した人は全体の30%に上り、およそ3人に1人が何らかの"しくじり経験"を持っていることが今回の調査で判明しました。

図3: 生成AIでの失敗内容

最も多かった失敗内容は「誤情報を鵜呑みにしたまま業務で使用してしまった」(30%)でした。続いて「AI出力の修正に時間がかかり逆に非効率だった」(26.7%)、「AI任せにしすぎて内容を説明できなかった」(23.3%)という結果となっています。

調査では具体的な失敗内容についても自由記述で回答を集めており、それらは主に以下のようなパターンに分類されています。

ハルシネーションでのしくじり体験

AIが生成した内容をそのまま活用した結果、「誤った情報をもとに資料を作成した」「支離滅裂な文章になった」「誤ったコードが生成された」など、"AIの嘘を信じてしまった"エピソードが数多く報告されています。

実際の回答

「誤った情報をもとに資料作成した」

「データの出所が不確かで実態を反映していなかった」

「AIの出した日本語が怪しかった」

「コード生成を依頼したらエラーを吐いた」

「学習データの偏りから誤情報まみれの文章が生成され、修正に追われた」

「情報が正しいと思って業務に取り入れた結果、偽情報だった」

確認コストでのしくじり体験

生成AIを活用することで作業時間の短縮を期待していたにもかかわらず、実際には「誤字や誤情報のチェック」「出力内容の見直し」「修正対応」に多くの時間を費やしたという声が目立っています。「時短になると期待していたのに、確認作業でむしろ時間がかかってしまった」という逆効果のケースも少なくないようです。

実際の回答

「提案資料の誤字がいくつかあった」

「誤ったデータ作成で訂正作業が大変だった」

「生成資料を全部修正し、自分で作るのと変わらなかった」

「回答をいちいち確認して合っているか見ないといけず、時短になっていない」

「他社から誤りを指摘された」

プロンプトでのしくじり体験

AIがユーザーの意図を正確に理解できず、想定外の回答やズレた結果が返ってきたという失敗事例も多く寄せられています。生成AIの活用に慣れるまでは、プロンプト(指示文)の設計力が成果を大きく左右するケースが多いことが分かります。

実際の回答

「疑問点を変えながら何度も質問したが、回答内容が異なり時間がかかった」

「仕様変更を断片的に入力したところ、バグが発生した」

「抽象的すぎて求めていたものと全く違う内容が出た」

「思い通りのキャラクターにならなかった」

「確率計算のプロンプトが理解されず、延々と間違った答えが返ってきた」

依存しすぎた結果のしくじり体験

AIが生成したアイデアや資料に頼りすぎてしまい、自分自身の理解や説明力が追いつかず失敗するケースも報告されています。

実際の回答

「新規事業のアイデア発表でAIに頼りすぎ、自分の知識になっておらず、説明がうまくいかなかった」

画像デザインでのしくじり体験

AIで生成した人物画像をそのまま使用したところ、「指の数がおかしい」と指摘されたという事例も報告されています。こうした経験から、生成物の品質チェックや権利関係の確認体制の重要性が浮き彫りになっています。

実際の回答

「AIで生成した人物画像をそのまま使うと、指の数がおかしいと指摘された」

また、LiKGに在籍するWebライターを対象としたAI活用における失敗体験の調査では、AIならではの特性に試行錯誤しながらも部分的に活用することで、生産性向上を図っている様子が明らかになっています。

実際の回答

「AIに記事作成を任せすぎて人間らしさがなくなってしまい、編集に時間がかかりすぎたことがある」

「最初の頃は「AIに任せれば早く済む」と思い、抽象的なプロンプトで質問していました。しかし、返ってきた内容は求めていた方向性と違い、再修正に多くの時間を費やしてしまいました。」

「執筆などを任せっきりにしているわけではないため、失敗したと感じたことは無いのですが、やはりこちらの意図を正確に伝えるプロンプロの難しさは感じています。得意としていることと、苦手としていることを正しく理解したうえで、使いこなすことを意識しています。」

今後の利用意向

図4:今後のAI活用意向

調査では「積極的に使いたい」(41.7%)、「必要に応じて使いたい」(50%)を合わせると、実に91.7%が今後も生成AIを活用したいと回答しています。失敗経験を経ても、「AIは使い方次第で強力な武器になる」という実感を持つ人が多いことが調査から見えてきます。

【番外編】約半数弱が有料の生成AIアカウントを活用

図5:課金版利用率

「会社の経費で生成AIの課金版を使用していますか?」という質問に対しては、「使用している」と回答した人が48%、「無料版のみ利用している」が52%と、ほぼ半数に分かれる結果となりました。企業レベルでもAI活用の環境整備が進みつつあるものの、導入支援や費用負担については社内での温度差がまだあることが示唆されています。

半数以上が生成AIの活用に独自ルールあり

図6:社内ルール整備率

社内のAI活用に関するルールの有無については、過半数の企業で何らかのAI利用ガイドラインが整備されている一方で、約4割の企業ではまだ明確なルールが設けられていないことも明らかになっています。

まとめ

今回の調査から、生成AIは業務効率化に大きく貢献する一方で、誤情報の扱いや理解不足、プロンプトの精度などの課題も浮き彫りになっています。しかし多くのビジネスパーソンは、失敗から得た教訓をもとに、より正確で安全な活用方法を模索していることも分かりました。

生成AI元年とも言われた2025年ですが、今後もAIリテラシー教育や運用ガイドラインの整備が進むことで、生成AIがビジネスの"共働パートナー"として定着していくことが期待されます。

■ 調査概要

調査名:ビジネスマンAI利用調査
調査期間:2025年10月21日
調査対象:全国の20〜60代ビジネスパーソン(生成AI業務利用経験者)
有効回答数:200件(男性162名、女性38名)

出典元: 株式会社LiKG プレスリリース

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