
PRM(パートナー関係管理システム)を提供する国内リーディングカンパニーである株式会社パートナープロップ(本社:東京都千代田区、代表取締役 CEO:井上拓海)が、日本におけるパートナービジネスの状況とパートナーマーケティングの成熟度を調査した「パートナーマーケティング白書 2025」を発表しました。この調査は355名のビジネスパーソンを対象に実施されたものです。
この記事の目次
なぜ今、日本国内においてパートナーマーケティングの重要性が高まっているのか
近年、日本企業においてパートナーマーケティングの重要性が急速に高まっています。その背景には、直販モデルに依存する従来の営業・マーケティングが限界を迎えつつあるという現実があります。
まず大きな要因として広告費の高騰が挙げられます。2024年の日本の総広告費は、過去最高の7兆6,730億円に達しました。広告チャネルは検索、SNS、動画、リテールメディアなどに細分化し、各チャネルでの最適化・運用が不可欠となっています。こうした環境変化はコストと工数を押し上げ、従来の広告依存型モデルでは費用対効果の確保が困難になっています。
加えて、深刻なのが人材不足です。厚生労働省の「一般職業紹介状況(令和7年7月)」によれば、営業職業従事者の有効求人倍率は2.15倍と、全職業計(1.28倍)を大きく上回っており、営業人員の採用は他職種に比べても特に競争が激しくなっています。また、新規求人倍率は3.66倍に達しており、採用市場における営業職の需給ギャップは一層顕著で、直販体制を拡張する上で大きな制約となっています。
「広告投資の効率悪化」と「営業人材の不足」という二重の制約が直販モデルに重くのしかかっています。これが現在の直販における大きな業界課題となっています。
こうした状況から、既存の販路や顧客接点を持つパートナー企業との協業が、効率的かつ持続的に市場を拡大するための現実的な解決策として注目されています。
海外では既に体系的なパートナープログラムが主流となり、日本でもSaaSや製造業を中心に導入事例が広がりつつあります。しかし現状、日本企業の多くはその重要性を認識しながらも、投資や体制の整備には十分に踏み切れていません。そこでパートナープロップでは、日本国内のパートナーマーケティングの成熟度と課題を明らかにするため、パートナービジネスに携わるビジネスパーソン355名を対象に実態調査を実施し、その結果を「パートナーマーケティング白書2025」として現状と課題、そして今後の展望を提示しています。
調査サマリー
・回答者の約7割が「パートナーマーケティングに一定以上の価値がある」と回答していますが、投資意欲は25%程度と低迷しています。海外の投資意欲の約3分の1の水準であり、施策の実践には大きな課題が存在しています。
・パートナーのスキルやモチベーションのばらつきが最も大きな課題となっています。また、稼働状況や効果的な施策が分からないといったブラックボックス化の課題も顕著であり、こうした課題への対応策としてパートナーマーケティングが重視されている可能性が高いとみられます。
・成果を生むカギは体系的なプログラム設計にあることがわかりました。パートナーマーケティングの各施策における効果実感はパートナーランク制度が最も高く、仕組みづくりの重要性が浮き彫りになっています。
調査概要
調査方法:インターネット調査
調査期間:2025年8月
有効回答:パートナービジネスを実施している企業のビジネスパーソン355名
調査主体:株式会社パートナープロップ
パートナービジネスの課題は「スキルやモチベーションのばらつき」が最多

パートナービジネスの課題を調査したところ、スキルやモチベーションのばらつきが34%と最も大きな課題であることが明らかになりました。また、パートナーへの有効な施策がわからない、稼働状況がわからないなど、ナレッジ不足に起因する課題も発生しています。
スキル不足は育成コンテンツの設計、モチベーションのばらつきは、ランク制度や共同マーケティング施策の整備などで解消していくことが一般的です。パートナーマーケティングの重要度が高まる背景には、パートナービジネスの構造的な課題があることが明らかになっています。
パートナーマーケティングの認知度は高いものの、投資は限定的─海外との差が鮮明に

調査では、約70%の回答者が「パートナーマーケティングには一定以上の価値がある」と答えており、認知度自体は高いことが明らかになりました。しかし、予算の増加意向を伺うと「予算を増加させる」と回答したのは24%にとどまり、価値認識と実行の間に大きなギャップが存在していることがわかります。

海外調査と比較すると、その差は一層際立ちます。海外でも「パートナーマーケティングに価値がある」との回答は68%とほぼ同水準ですが、予算増額意向は62%に達しており、日本との差が顕著であることが示されています。
つまり日本では、重要性を理解しながらも投資や施策実行に踏み切れていない実態が浮き彫りになっています。さらに企業規模別に見ると、中堅・大企業では「成長の次なるドライバー」としてパートナーマーケティングを捉える傾向が見られる一方、小規模企業では認知度が低く、「まずは直販で事業を大きくしてから」という暗黙の了解が根強く残っていることが示唆されました。
成果に直結する「プログラム設計」は未整備──小粒施策にとどまる日本企業

次に、パートナーマーケティングの具体的な取り組み状況について見ていきます。
「パートナーとの共同マーケティング」や「パートナーの育成コンテンツの整備」は、約6割の企業が一度は実施した経験があると回答しています。これらはいずれも比較的コストを抑えて実行できる活動であり、前段で触れた「予算拡大に慎重な姿勢」と合致する結果といえます。一方、パートナープログラムの構築といった、本格的な仕組みづくりに取り組んだことがない企業が多数を占めています。これは費用やリソースがかかる施策であるため、日本企業の多くは依然として「小さく試す」段階にとどまっている実態が浮かび上がっています。

一方で、各施策の実施経験がある企業にそれぞれの成果実感を尋ねたところ、パートナーランク整備における成果実感は80%以上と、全施策の中で最も高い結果となりました。共同マーケティングやコンテンツ整備といった比較的軽量な取り組みよりも、体系的なプログラム設計に踏み込んだ企業ほど、成果を強く実感している傾向が見られます。
つまり、成果創出のカギは小規模な施策の積み重ねに加えて、パートナープログラムのような仕組みづくりにあることが浮き彫りになったといえます。
調査総括と展望:日本企業の次なる課題
総じて言えるのは、日本企業はパートナーマーケティングの重要性を認識しつつも、直販を重視する文化や投資不足により本格展開が遅れているという点です。成果を確実に引き出すには、パートナープログラムをはじめとする施策の重層化、予算の確保、そして経営層レベルでの体制強化が欠かせません。今後、日本企業がこうした取り組みを実行に移せるかどうかが、パートナーマーケティングを「企業成長の次なるドライバー」として位置づけられるかを左右していくでしょう。
「パートナーマーケティング白書」について
「パートナーマーケティング白書 2025」には、調査で浮き彫りになった課題や成功要因を網羅し、次の成長ドライバーを模索する企業にとって具体的なヒントが提示されています。直販依存から脱却し、持続的な成長を実現するための参考資料として活用することができます。
【目次】
■序章 調査概要
・調査手法
・サマリー
■第一章 パートナービジネスの成果
・業界別のパートナー数
・パートナービジネスの成果、成果が出るまでの期間
・パートナービジネスのKPI、予算、課題
■第二章 パートナーマーケティングの取り組み状況
・パートナーマーケティングの重要性・予算増額意向
・パートナーマーケティングの取り組み施策、施策別の成果
■第三章 パートナーマーケティングの組織設計
・パートナービジネスの専任部署
・パートナーセールスの人数
・パートナーマーケターのキャリアバックグラウンド
・CAOの認知度
株式会社パートナープロップについて

株式会社パートナープロップは「共創を、社会のエンジンに。」というミッションを掲げ、「パートナーチャネル」のアップデートを可能にするスタートアップ企業です。世界市場規模38兆円と巨大市場となっているPRM(パートナー・リレーションシップ・マネジメント)領域を牽引し、日本を代表とするリーディングカンパニーとして企業間の共創を促進する社会の実現を目指しています。
社名:株式会社パートナープロップ
事業内容:PRM ツール「PartnerProp」の企画・開発・販売
設⽴:2023年5⽉
代表者:代表取締役 CEO 井上 拓海
所在地:東京都千代田区平河町2丁目5-3 MIDORI.so 3F
出典元:株式会社パートナープロップ プレスリリース