
株式会社SHIBUYA109エンタテイメント(本社:東京都渋谷区、代表取締役社長:石川 あゆみ)が運営する若者マーケティング機関『SHIBUYA109 lab.』は、15~24歳の女性413名を対象とした「Z世代のSNS利用最新動向2025」調査の結果を発表されました。この調査は外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューから実施されています。
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SNSは不特定多数よりもクローズドかつエフェメラルにつながるのが主流
2025年現在のSNS利用状況調査によると、利用しているSNSとして最も多いのはInstagram(89.6%)、続いて動画配信サービス(86.2%)、X(69.0%)、TikTok(60.8%)となっています。

各プラットフォームのうち最も投稿しているSNSについては、Instagram(45.5%)が最多で、次いでX(26.4%)、BeReal.(22.1%)となりました。特にInstagramの投稿内訳は、ストーリーズが38.1%、フィード・リールが7.4%と、エフェメラル(一時的)なコンテンツ形式であるストーリーズの投稿が多いことが明らかになっています。

各プラットフォームの投稿・閲覧状況については、BeReal.は利用者の92.2%が閲覧だけでなく投稿も行っていることがわかりました。これはBeReal.の「投稿しないと他の人の投稿が閲覧できない」仕様が影響していると考えられます。BeReal.以外ではInstagram、X、Snapchatがアクティブに利用されているSNSとなっています。

各SNSのフォロー関係についても調査されており、InstagramやBeReal.はオフラインで知り合った友人が最も多くフォローされている一方、TikTokではインフルエンサー、Xでは企業や趣味で繋がる友だち・SNSで繋がった友だちをフォローする傾向が強いことが判明しました。


これらの結果から、Z世代にアクティブに使われているSNSは「ある程度絞られた小さなコミュニティ」と繋がっているものであり、InstagramのストーリーズやBeReal.などへの投稿が多いことから、永続的ではなく「エフェメラル(24時間のみ表示など一時的に掲載される)」な特徴が好まれていることがわかります。
グループインタビューでも「BeReal.は投稿が見られる機会が少ないのが良い」「BeReal.は自分の投稿が誰かにスクリーンショットされたことが分かる」「Xの鍵アカウントは本当に仲の良い友人5人くらいとしか繋がっていない」といった意見が聞かれました。他人の目を気にする傾向のあるZ世代にとって、安心して投稿できる環境であるかどうかがSNS選択の重要な要素となっていることが明らかになっています。
SNSに投稿する際にZ世代が意識していることとしては、「映えている、またはおしゃれかどうか(35.1%)」「他人にとって不快な内容ではないか(33.7%)」「自分の顔やスタイルが盛れているか (33.2%)」が上位となりました。好意的に見られることを意識する一方で、他者が不快に感じないかにも配慮していることがわかります。

SHIBUYA109 lab.所長のコメントによると、Z世代は「共有したい話題や見せたい自分に合わせて繋がる相手とアカウントを使いわけることで、コミュニケーションの交通整理をしている」とのことです。コロナ禍を経て「深く狭いコミュニティ」でのコミュニケーションを重視する傾向が続き、SNS投稿の不慮の拡散に対するリスクヘッジを意識していることから、コミュニケーションの場が外から見えないクローズドSNSへと移行する傾向が強まっていると分析されています。
思いはX、思い出はBeReal.、検索・自己表現はInstagram。最新のSNS使い分け動向
各SNSで投稿されている内容やモチベーションにも違いが見られます。Xでは「自分の考え・近況(52.8%)」「何かを体験した感想(42.9%)」が多く投稿される一方、Instagramのメインアカウントのフィードは「映える・おしゃれな写真・動画(41.6%)」「友だちとの思い出(39.6%)」、ストーリーズは「友だちとの思い出(67.4%)」「映える・おしゃれな写真・動画(56.4%)」、BeReal.は「友だちとの思い出(48.4%)」「自撮り(45.8%)」が上位となっています。

投稿モチベーションについても、Xは「自分の思いや考えを整理するため(30.1%)」「自分の思い出を記録するため(27.6%)」が上位である一方、Instagramのフィード・リールやストーリーズは「自分の思い出を記録するため(フィード:41.6%/ストーリーズ:59.0%)」「自分の好きな世界観や雰囲気を表現するため(32.7%/29.1%)」、BeReal.は「自分の思い出を記録するため(44.4%)」「自分の好きな世界観や雰囲気を表現するため(17.6%)」が多くなっており、SNSごとの使い分けが明確になっています。

また、「お出かけする際、場所や体験をどこで見つけますか」という質問に対しては、Instagram(64.6%)、TikTok(39.0%)、X(35.1%)、動画配信サービス(30.5%)、検索エンジン(28.8%)の順で多い結果となりました。SHIBUYA109 lab.所長は「Instagramの発見タブでは自分の好きな世界観に合ったお出かけや体験を見つけることができることで重宝されているが、近年ショート動画での情報収集が主流になっていることから、TikTokも次点に来ている」と分析しています。

顔やスタイルよりも雰囲気を盛りたい、Z世代の最新の撮影トレンド
投稿用の写真・動画の撮影方法に関する調査では、顔やスタイルなどが映った写真を投稿することに抵抗があると考えた若者は75.6%にも上りました。

鏡越し(56.9%)や横向き・後ろ姿(43.6%)、スマホで顔を隠す(43.3%)などの撮影方法を経験した人はいずれも半数近くおり、自分の写真を撮影する際に自分の姿がすべて映ることは当たり前ではなくなっていることが明らかになりました。

また、55.0%の若者が「遊びに行く場所の世界観に合わせて服装を決める」と回答しており、若者の間で世界観と遊びに行く場所、SNSに投稿する内容と世界観が強く紐づいていることが明らかになっています。

調査によると「世界観」とは「ビジュアルから読み取る視覚的な系統のこと」であり、近年は一定のモチーフに紐づく世界観である "○○コア"といった名称とともに、自分を表現する一つの言語や手法としてZ世代の間で扱われています。

グループインタビューでは「世界観は周りの子も統一しており、自分も統一したいと思う」「季節ごとに世界観を使い分けたい」「世界観が自分と合わない人は遊びに行ってもフィードに投稿せずに、ストーリーズに投稿する」などの意見が聞かれ、自己表現としてSNSの世界観を大事にし、それを保つよう行動している様子が見られました。
興味深いのは、「映えという言葉は使わない。気に入った写真を載せているだけ」という意見があり、実際に今回の定量調査でも「『映え』という言葉をよく使う?」という質問に「当てはまる」と回答したのは28.3%にとどまった点です。万人にウケる「映え」よりも、それぞれの世界観や "可愛い" という感性に響くものをSNSに投稿し、それを自分の個性として表現している傾向が高まっていることがうかがえます。
若者のSNS利用の変化をSHIBUYA109 lab.所長が分析
SHIBUYA109 lab.所長は、若者たちがどのような自分を見せるか、誰とのコミュニケーションを楽しみたいかによって各SNSを使い分けていることを指摘しています。また、SNSで不特定多数とつながることで生じるコミュニケーションの疲れや炎上リスクを回避するために、エフェメラル(一時的)な共有や、クローズドな場での交流を主軸にし始めていると分析しています。
投稿に対する意識についても、多くの人と共感できる画一的で作りこまれた「映え」に対するモチベーションは下がっており、各々が好きな世界観を自己表現できることが重視されるようになっています。今後企業は、若者のコミュニケーションにおけるムードを意識しつつ、若者が好きな世界観に合わせて切り取ることができる体験設計を提供することがより重要になると指摘されています。

SHIBUYA109 lab.所長 長田麻衣(おさだ・まい)
総合マーケティング会社にて、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPR サポートを経て、2017年に株式会社SHIBUYA109エンタテイメントに入社。SHIBUYA109マーケティング担当としてマーケティング部の立ち上げを行い、2018年5月に若者マーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」を設立。現在は毎月200人の「around20(15~24歳)」と接する毎日を過ごしています。
調査概要
①WEB調査
調査期間:2025年7月
調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用しスクリーニング調査を実施
居住地:一都三県
性別:女性
年齢:15~24歳
対象:高校生・大学生・大学院生・短大生・専門学生
回答者数:413名
②SHIBUYA109 lab.による定性調査
・グループインタビュー
対象者条件:高校生 女子4名、大学生 女子3名 2G 合計7名
・その他過去定性調査をもとに考察
SHIBUYA109 lab.概要
株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが運営する新しい世代に特化した若者マーケティング機関。SHIBUYA109のターゲットである「around20(15~24歳)」を中心に彼らの実態を調査し、SHIBUYA109独自の視点から分析しています。
設立:2018年5月17日
所長:長田麻衣(株式会社SHIBUYA109エンタテイメント所属)

出典元: 株式会社SHIBUYA109エンタテイメント プレスリリース