Momentum株式会社(本社:東京都港区 代表取締役社長:瀬戸 亮 以下、モメンタム)と、株式会社電通デジタル(本社:東京都港区 代表取締役社長執行役員:川上 宗一 以下、電通デジタル)は、2022年版「アドベリフィケーションに関する意識調査」を実施しました。ウェブ広告に関わる事業者であるアドバタイザー(広告主)、エージェンシー(代理店)、プラットフォーマー(広告配信プラットフォーマー)に対し横断的な調査を行い、アドベリフィケーション※1の認知率と対策実施率を明らかにしました。

■調査の背景
 本レポートは、国内のウェブ広告の事業者がアドベリフィケーションに関してどのような意識を持っているのかを明らかにすることを目的に、国内アドベリフィケーションベンダーかつアドベリフィケーション推進協議会※2の加盟企業である電通デジタルとモメンタムが2022年8月に実施した調査をまとめたものです。
 近年、ウェブ広告の価値毀損に関わるリスク対策への動きが活発になってきている中、2021年4月にJICDAQ(一般社団法人デジタル広告品質認証機構)※3が設立され、JICDAQの認証基準をクリアした事業者が増えることによる業界全体の健全化促進が期待されています。本意識調査は2018年以降規模を拡大しながら経年で行われており、今回は、JICDAQが設立されたことによる影響を中心に、昨年6月に実施した同内容の調査結果との比較をもとに発表します。

■本調査の主な結果と考察
1.アドベリフィケーション対策を実施してポジティブな効果を感じている事業者が増加
 アドベリフィケーションへの認知率・対策実施率は、プラットフォーマー、エージェンシー、アドバタイザーの順に高く、全体傾向としては、昨年からの大きな変化はありませんでした。事業規模別で見ると、売上が高い事業者ほど認知率・対策実施率が高い傾向にありましたが、プラットフォーマーにおいては規模に関わらず対策が行われていることがわかりました。対策を実施した事業者へその効果を聞いた設問では、「特に効果は出ていない」という回答が最大7.6ポイント減り、ポジティブな効果を得たと感じる事業者が増加したことがうかがわれます。

Q. 該当するアドベリフィケーション対策(ブランドセーフティ、アドフラウド、ビューアビリティなど)に取り組まれた結果、現時点でどのような効果が出ていますか。
※複数回答、「対策をとっている(とったことがある)」と回答した事業者のみに質問

ブランドセーフティ(ポジティブ回答TOP3/前年比較)

アドフラウド(ポジティブ回答TOP3/前年比較)

ビューアビリティ(ポジティブ回答TOP3/前年比較)

2.JICDAQ設立の影響により大規模アドバタイザーの意識が変化
 年商200億円を超える大規模アドバタイザーでは、認知率と対策実施率が増加するだけではなく、「アドベリフィケーションを代理店や広告配信プラットフォームの選定条件に入れている」と回答した割合も昨年より15%増加し、45%を超えています。アドベリフィケーションへの問題を認知しながらも、これまでリスク対策に足踏みしていた特に大企業にとって、JICDAQ設立が後押しした結果ともいえるでしょう。

Q. 自社の広告を配信する際、代理店や広告配信プラットフォームで、アドベリフィケーション対策をしているかどうかを代理店や広告配信プラットフォーム選定の条件に入れていますか。
※単一回答、アドバタイザーのみに質問

事業規模別前年比較

3.アドベリフィケーションツールを活用した個別の対策が活性化
 アドバタイザーのアドベリフィケーション対策として昨年比で最も伸長率が大きかった対策内容は、ブランドセーフティにおける「サードパーティデータを活用した指定ドメイン、URLリストの活用」で昨年の約2倍、またPre-Bid、Post-Bidの利用も、全てのカテゴリにおいて増加傾向がありました。これらの対策は、アドベリフィケーションツールベンダーが提供する専用ツールを利用するもので、各社が本格的な対応に取り組み始めていることがうかがわれます。さらに、基礎的な対策である「自社作成の配信指定ドメイン、URLリストの活用」が最も対策内容としては多く、昨年比でも増加していることから、業界全体での意識の高まりが示唆されます。

Q. 該当するアドベリフィケーション(ブランドセーフティ、アドフラウド、ビューアビリティなど)について、自社での対策内容をそれぞれ教えてください。
※複数回答、「対策をとっている(とったことがある)」と回答したアドバタイザーのみに質問

ブランドセーフティ


アドフラウド

ビューアビリティ

※1:アドベリフィケーションとは、アドフラウド、ブランドセーフティ、ビューアビリティに配慮した、不適切な広告配信を防ぐための広告価値毀損測定の仕組み。
アドフラウド:botなどを使い無効なインプレッションやクリックによって広告費用を騙し取る不正広告のこと
ブランドセーフティ:広告が不適当な掲載場所に表示されることによるブランド毀損を防ぐこと
ビューアビリティ:配信された広告掲載インプレッションのうち、実際にユーザーが視認できる状態にあったインプレッションの比率のこと

※2:アドベリフィケーション推進協議会は、ウェブ広告におけるアドベリフィケーションの取り組みを本格化するために、インテグラル・アド・サイエンス、Momentum、電通デジタル、CARTA COMMUNICATIONSらと共に発足しました。日本におけるアドベリフィケーション問題の現状把握と具体的な対策の研究を深化させるとともに、その研究結果を適宜ホワイトペーパーとして一般公表し、広告出稿時の一助となるような有益なデータの提供を目指します。

※3:JICDAQは、公益社団法人日本アドバタイザーズ協会(JAA)、一般社団法人日本広告業協会(JAAA)、一般社団法人日本インタラクティブ広告協会(JIAA)が中心となり、デジタル広告市場における品質課題を解決することで、デジタル広告が健全に発展し、企業にとっても社会にとっても有益なものになることを目指して立ち上げた認証機構。

■調査概要
調査名称:アドベリフィケーション意識調査2022
調査期間:2022年8月
調査方法:インターネットリサーチ
調査対象:国内のアドバタイザー、エージェンシー、またはプラットフォーマーで広告関連事業に携わっている方
調査会社:マクロミル株式会社

有効回答数:
アドバタイザー:412件(2021年:412件)
エージェンシー:291件(2021年:358件)
プラットフォーマー:206件(2021年:198件)

レポート内の事業規模の区分について
小:年商50億円未満
中:年商50億円以上~200億円未満
大:年商200億円以上

■Momentum CEO 瀬戸 亮のコメント
 JICDAQが設立されて1年がたち、実際に認証事業者が増加しています。インターネット広告のリスクに対する業界的な動きが具体的かつ活発になってきました。
 Momentumはこのような動きがどの様に世の中で認識され、影響を与えているのかを明らかにするため、本調査を定点観測的に行っています。前回の調査から、認知率・対策実施率に加えて、アドベリフィケーション施策実施後の効果や、施策の浸透が進まない原因であると考えられる「コストを誰が負担するのか」について、調査を行っています。今回の調査と合わせて、より問題の輪郭が立体的になってきたと感じています。
 この調査が、すべてのインターネット広告業界を健全にしようとしている企業・個人の活動に寄与すれば幸いです。

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