
株式会社電通デジタルと株式会社電通が共同で、電通独自の生活者意識調査データを活用したマーケティングターゲット探索と広告メッセージのコンセプト提案を行う生成AIツールを開発したことが発表されました。このツールはすでに国内電通グループ各社で運用が開始されています。
開発されたツールはAIコピーライター「AICO2」と連携することで、広告メッセージのコンセプト開発から各ターゲットに向けたコピー生成までを一貫して実現します。また電通独自のデータ基盤を活用してブランドに対する適切なターゲット探索を迅速に行うことが可能になっています。

この記事の目次
生成AIを活用した高度な広告メッセージ開発ツール
株式会社電通デジタル(本社:東京都港区 代表取締役社長執行役員:瀧本 恒)と株式会社電通(本社:東京都港区 代表取締役 社長執行役員:佐野 傑)が、電通独自の生活者意識調査データを活用してマーケティングターゲットを探索し、広告メッセージのコンセプトを提案する生成AIツールを開発したことが発表されました。このツールは両社をはじめとした国内電通グループ各社ですでに運用が開始されています。
開発されたツールは、既に運用されているAIコピーライター「AICO2」と連携することで、広告メッセージのコンセプト開発から各ターゲットに向けた「心に響くコピー」生成までを一気通貫で実現しています。さらに、電通独自のデータ基盤「COSMOS DATA」内の生活者パネルデータに採録されている137の商品カテゴリ・計4915銘柄(2025年8月時点)に関する購入・使用意向のデータを活用し、任意のブランドに対する適切なターゲット探索を迅速に行うことが可能になっています。
このツールは選定されたターゲットに向けた広告メッセージのコンセプトを複数案出力する機能を備えており、電通の戦略プランナーが記述したメッセージコンセプトの例を事前学習することで、高い完成度を実現していると報告されています。
プランナー業務の大幅な効率化を実現
従来、熟練プランナーがターゲット分析を行う場合、データ分析作業および分析結果に基づくメッセージコンセプトの検討・記述に数時間の作業時間を要していました。しかし、このツールを活用することで、わずか数分で複数パターンのターゲット分析結果とメッセージコンセプト案を出力できるようになったとのことです。
さらに、電通の戦略プランナーが知見や感性を生かして生成されたメッセージコンセプト案をブラッシュアップすることで、より高品質なアウトプットに仕上げることが可能です。この人間とAIの協働によって、クリエイティブの質を保ちながら業務効率の大幅な向上を実現しています。
生成AI活用の長年の研究開発の成果
電通デジタルと電通は初代「AICO」の開発をはじめ、2015年から広告制作における生成AI活用について研究開発を続けてきました。広告戦略の立案において、広告のキャッチコピーを生成する前に、適切なターゲット設定とそのターゲットが商品に感じる魅力を把握することが広告効果の向上に直結する重要なステップであり、信頼性の高いターゲット分析が求められています。
両社はこのツールをともに高め合う良きパートナーとして位置づけ、ブランディング領域における高品質な広告制作を支援し、顧客の事業成長に貢献していく方針を示しています。

国内電通グループは、"人間の知(=Intelligence)"と"AIの知"の掛け合わせによって、顧客や社会の成長に貢献していく独自のAI戦略「AI For Growth」を推進しています。
技術的な背景と関連サービス
本ツールに関連するAIコピーライター「AICO2」は、2025年6月にボディコピーの自動生成機能が実装されています。これにより、より包括的な広告コピー制作が可能になりました。また、電通独自のデータ基盤「COSMOS DATA」は、個人視聴データを搭載した放送局ダッシュボード「Rasta!」などの開発にも活用されており、電通グループのデータドリブンな広告・マーケティング戦略の中核を担っています。
これらの技術基盤とAI開発の積み重ねにより、今回開発された生成AIツールは、単なるコピー生成ではなく、データに基づいたターゲット分析からメッセージ開発までを一貫して行う高度なマーケティングツールとなっています。
電通デジタルについて
電通デジタルは、国内最大規模の総合デジタルファームです。「人の心を動かし、価値を創造し、世界のあり方を変える。」をパーパスに掲げ、生活者に寄り添うクリエイティビティとテクノロジーを統合的に活用することで、あらゆるトランスフォーメーションを実現しています。
同社はクライアントの事業成長パートナーとして、共に新たな価値を創造することで、経済そして社会の「変革と成長」を目指しています。今回開発された生成AIツールも、この理念に基づいた取り組みの一環として位置づけられています。
AI活用の今後の展望
広告・マーケティング業界においてAI技術の活用は急速に進んでおり、特に生成AIの登場によってクリエイティブ領域での活用が広がっています。電通グループが推進している「AI For Growth」戦略は、人間とAIの知を掛け合わせることで、顧客や社会の成長に貢献していくという考え方に基づいています。
今回の生成AIツールの開発は、AIを単なる省力化ツールとしてではなく、人間のクリエイティビティを高め、より質の高い広告制作を実現するためのパートナーとして位置づけている点が特徴的です。今後も電通グループはAI技術と人間の専門性を組み合わせた取り組みを強化していくことが予想されます。
このような取り組みは、広告業界全体のデジタルトランスフォーメーションを加速させるとともに、データとAIを活用した新たなマーケティングの可能性を広げていくものと期待されています。
出典元:株式会社電通デジタル プレスリリース