株式会社電通が、全国2000万人規模のテレビの個人視聴データ「COSMOS DATA(コスモス データ)」を新たに作成し、このデータを簡単に集計・分析できるダッシュボード「Rasta!(Resourceful Analysis System of TV Audience:ラスタ)」を開発したことを発表しました。同社ではこの度より、本格導入を開始し、テレビ視聴者の詳細分析やプランニングへの活用を進めていくとのことです。

Rasta!ロゴ

統合マーケティング基盤を活用した大規模個人視聴データの構築

「Rasta!」の基盤となるソースデータ「COSMOS DATA」は、株式会社電通が保有する統合マーケティング基盤「STADIA360」のテレビ実視聴データを基にしています。このデータベースは個人の視聴を高精度に推計し、全国各エリアにおける視聴状況の詳細分析を可能にする個人視聴データとなっています。

同社が独自に実施した生活者意識調査のデータと掛け合わせることにより、テレビ番組視聴者のみならず、動画サービスユーザー、新聞・雑誌などの購読者、さらには商品・サービスの利用意向者などの詳細なプロファイリングが実現可能になったとのことです。現代のメディア環境や生活者のライフスタイルが多様化する中、「COSMOS DATA」は大規模シングルソースデータとして生活者の意識や行動・習慣を詳細に把握・分析する機能を提供しています。

〈COSMOS DATAイメージ〉

COSMOS DATAイメージ図

膨大なデータを瞬時に集計・分析する高性能ダッシュボード

「Rasta!」は、独自に開発された集計技術により、膨大な量の「COSMOS DATA」を瞬時に集計し、高速かつ安定的な動作を実現する放送局向けダッシュボードです。このシステムでは、全国の地上波民放127局、民放BS10局について、毎分の視聴人数推移を詳細に分析することが可能となっています。

さらに、テレビ視聴データだけでなく、他メディアの利用状況、価値観、趣味嗜好、購入・利用意向など約13万項目に及ぶプロフィールに基づいた任意ターゲットのヒートマップ分析機能を搭載しているとのことです。また、「People Profiler」と連携したテレビ番組の視聴者プロファイリングも実現しています。

「Rasta!」の特徴として、全国各放送エリア(32地区)の分析に加え、BSを含むテレビ番組全体での視聴分析が可能である点が挙げられます。レギュラー番組や特別番組はもちろんのこと、従来のパネルデータではサンプル数不足により分析が困難だった5分ミニ枠やローカル番組、BS番組についても、出現率が低くなる複雑なターゲット条件でも精度の高い視聴分析やプロファイリングを行うことができるとしています。

〈Rasta! 活用イメージ〉

放送局ごとの毎分視聴数推移

放送局ごとの毎分視聴数推移

番組視聴者の詳細プロファイリング例

番組視聴者の詳細プロファイリング例

クライアントとメディア双方の事業成長を支援

株式会社電通では、今後もメディア接触に関するデータの拡充や精度向上によるソリューション提供を通じて、クライアント企業とメディア双方の事業成長に貢献していく方針だとしています。これらの取り組みによって、より効果的なマーケティング戦略の立案や、視聴者ニーズに合ったコンテンツ制作の支援を実現していくことが期待されます。

電通ロゴ

データマーケティングの進化を加速

近年、メディア環境の多様化や消費者行動の変化に伴い、より精緻なデータ分析に基づくマーケティング戦略の重要性が高まっています。「COSMOS DATA」と「Rasta!」の開発は、そうした市場ニーズに応える取り組みといえるでしょう。全国規模の大規模データを活用した詳細分析が可能になることで、広告主にとっては効果的な広告出稿計画の立案、メディア側にとっては視聴者ニーズに合ったコンテンツ制作の参考となることが期待されます。

「COSMOS DATA」の大きな特徴は、テレビ視聴データと生活者意識調査データを掛け合わせることで、単なる視聴率分析を超えた多角的な視聴者像の把握を可能にしている点です。これにより、従来は見えなかった視聴者の嗜好や行動パターンを詳細に分析できるようになります。

一方、「Rasta!」は膨大なデータを瞬時に処理し、使いやすいインターフェースで分析結果を提供することで、データ活用の敷居を下げる役割を果たします。特に、サンプル数の少ないニッチなターゲット層や、短時間の番組枠に対しても信頼性の高い分析が可能になる点は、広告主やメディア関係者にとって大きなメリットとなるでしょう。

マーケティング基盤「STADIA360」との連携

「COSMOS DATA」の基盤となっている「STADIA360」は、電通が2025年5月に「STADIA」からアップデートした統合マーケティング基盤です。テレビの実視聴データを活用した精度の高いマーケティング分析が可能となっており、「COSMOS DATA」と「Rasta!」はこの基盤技術を活かした新たなソリューションとして位置づけられています。

また、「People Profiler」との連携により、"人"基点でのプランニングによってテレビ広告評価を進化させる取り組みも進められているとのことです。これは2020年から電通が推進しているもので、「Rasta!」の機能とあわせて活用することで、さらに効果的なマーケティング戦略の立案が可能になると期待されています。

今後の展望

メディア環境が急速に変化する中、テレビとデジタルメディアの融合や、クロスメディアでの効果測定の重要性が高まっています。株式会社電通では、「COSMOS DATA」と「Rasta!」の開発・導入を足がかりに、さらなるデータ拡充や分析精度の向上に取り組んでいくことが予想されます。

特に、動画配信サービスの普及やスマートテレビの増加によって、従来のテレビ視聴の概念が変化している現在、リアルタイムでの視聴データ収集や分析の重要性はますます高まっています。今回の取り組みは、そうした市場変化に対応するための重要なステップといえるでしょう。

「COSMOS DATA」と「Rasta!」を活用することで、広告主はより効果的なターゲティングやメディアプランニングが可能になり、メディア側は視聴者ニーズに合ったコンテンツ開発や編成戦略の立案に役立てることができます。こうした双方向の価値提供を通じて、テレビメディアの新たな可能性を切り開いていくことが期待されています。

出典元:株式会社電通 プレスリリース

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ