
クラウドECサイト構築プラットフォーム「メルカート」を提供する株式会社エートゥジェイ(東京都港区/代表取締役社長 飛鷹 祐哉)は、季節イベントの準備時にECサイトを利用する経験者を対象に、「ECサイトの利用頻度」や「購入検討時の情報源」に関する意識調査を実施したことを発表しました。この調査は、EC利用におけるユーザーの行動多様化と、それに応じた効果的な情報提供のあり方を探る目的で行われました。調査期間は2025年4月18日~4月21日となっています。
この記事の目次
調査結果サマリー
・季節イベント準備時、ECサイトを「毎回利用」「時々利用」と回答した人は全体の82.6%で、オンライン利用が主流となっています。
・準備開始時期は「2〜3週間前」「1ヶ月以上前」が大半で、計84.2%を占めています。
・購入検討時の情報源は年代・利用頻度で多様化していることが明らかになりました。
・60代は「ECサイトの商品ページ」を最も参考にする割合が高く、若年層は「SNS」「動画プラットフォーム」利用傾向が顕著です。
・ECサイト運営には、割引・送料無料等のインセンティブ設計に加え、ユーザー属性やチャネルごとの最適な情報発信が重要であることが示されています。
背景
近年、季節ごとのイベントや年中行事(バレンタイン、母の日、父の日、お中元、敬老の日、ハロウィン、クリスマス等)の準備において、ECサイトを活用する消費者が急速に増えています。
また、コロナ禍をきっかけとした生活様式の変化や、ECサイト機能の進化により、ギフトやイベントグッズの購入もオンラインが主流となりつつあります。一方で、情報収集チャネルは「SNS」「動画」「レビュー」など多様化し、ユーザーの購買行動や意思決定プロセスは世代や利用頻度によって大きな差が見られます。
こうした状況を受け、EC事業者にとっては「どのような層が、どのタイミングで、どのチャネルで情報を得ているのか」を把握し、適切な情報発信・顧客アプローチを行うことが、今まで以上に重要になってきています。
そこで今回、株式会社エートゥジェイはECサイトで季節イベントの準備経験があるユーザーを対象に、利用実態・購買時の情報源・求めるサービスなどについての調査を実施しました。
調査概要
•調査期間:2025年4月18日~4月21日
•調査対象:季節イベント準備時にECサイトを利用する経験者 20代~60代の男女
•有効回答数:500名
•調査方法:インターネット調査
調査結果
①8割が季節イベント準備にECサイトを「毎回」「時々」利用
バレンタインや母の日、父の日、お中元、敬老の日、ハロウィン、クリスマスなど、様々な季節イベントの準備において、ECサイトを「毎回利用する」「時々利用する」と回答した人は全体の82.6%(毎回利用:18.4%、時々利用:64.2%)にのぼりました。
回答者属性は男性60.2%、女性39.8%。年代別では60代が33.4%、50代30.2%、40代24.0%、30代以下12.4%と、やや高齢層が多い構成ですが、全世代でECサイト利用が広がっています。このことから、これまで「対面購入」や「実店舗での準備」が中心だった年中行事も、今やECサイトが生活インフラの一部として広く浸透していることがわかります。

また、イベント準備の開始時期については、「1ヶ月以上前」43.0%、「2〜3週間前」41.2%と、合計84.2%が早めに準備を始める傾向が明らかになりました。これは、ECサイトが"いつでもどこでも"注文できる利便性を最大限に活かし、余裕を持ってギフト選びや配送手配を進める人が増えていることの表れです。
EC事業者にとっては、早期注文を促すキャンペーンや、長期にわたってイベント特集を展開することが、集客や売上拡大の有効な施策となるでしょう。

▼イベントごとのEC利用傾向
ECサイトで購入することが多いイベントは「クリスマス」(33.6%)、「母の日」(31.6%)、「お正月(年末年始)」(30.4%)、「バレンタインデー」(21.8%)が上位を占めており、特にギフト需要や家族イベントでのEC利用が活発です。「母の日」「バレンタイン」は女性や若年層で高く、「お正月」や「クリスマス」は全年代・男女問わず幅広く利用されています。これらから、ECサイトが「家族」「親しい人」へのギフト手配はもちろん、自分自身の季節体験の充実にも役立っていることが伺えます。

②30代以下は口コミやインフルエンサー発信を参考にセレクト
購入検討時の主な情報源としては、「ECサイトの特設ページ(商品ページ)」29.4%、「購入者レビュー」24.4%が上位となり、公式情報と第三者の評価をバランス良く参照している様子がうかがえます。一方、「SNS(Instagram、X等)」6.2%、「動画プラットフォーム(YouTube、TikTok等)」2.6%と、いわゆる"クチコミ"や"インフルエンサー発信"を情報収集に活用するユーザーも少なくありません。

年代別では、「ECサイトの特設ページ」を最も参考にする割合が60代34.1%、50代29.8%、40代27.5%、30代以下19.4%と、年代が高いほど公式情報を重視する傾向が顕著です。
一方、30代以下では「SNSや動画プラットフォーム」を参考にする割合が19.3%と圧倒的で、若年層は"推し活"やトレンド発信を受けて新しい商品やサービスに出会っている様子が強く感じられます。この傾向は「SNSで推しが紹介していたから」「周囲の投稿で流行を知った」といった行動パターンとも合致しており、今後のECマーケティング施策にも大きな影響を与えるでしょう。

▼購入を決める"最後の一押し"は?
購入決定時に重視する要素としては、「価格の安さ」(22.0%)、「送料無料や配送条件の良さ」(15.4%)、「商品レビューや口コミの信頼性」(11.8%)が上位となり、価格や配送条件、第三者評価が購買の決め手になっていることが分かりました。
このことから、ECサイト側は価格訴求や送料無料キャンペーンの強化だけでなく、レビュー・ブランドストーリーの充実や配送体験の向上も重視すべきだと言えます。

③物価高、節約志向がECサイト利用にも影響
ECサイトに求めるサービスとしては、「割引・送料無料・ポイント還元」が52.2%と半数を超え、年代や利用頻度を問わず価格メリットやコストパフォーマンスへのニーズが高いことが明確です。これは「物価高」や「節約志向」が強まる現代消費者のリアルな声を反映しているとも言えるでしょう。

また、ECサイトから提供してほしい情報としては、「割引やクーポン情報」(50.2%)が半数を超えて最も多く、依然として"お得感"へのニーズが非常に高いことがうかがえます。次いで、「商品の使用例やレビューをまとめたページ」(39.2%)や「人気商品ランキング」(37.6%)が上位に挙がっており、ユーザーは購入前に他の消費者の体験や客観的な評価を参考にしながら、主観だけでなく多角的な視点から納得して商品選びをしたいと考えていることが読み取れます。これらの結果から、ECサイト運営者には単なる価格訴求だけでなく、レビューやランキング、使用例の"情報の見やすさ・信頼性"を高める工夫や、ユーザー目線での情報発信がより一層求められていると言えるでしょう。

▼「楽しい」と感じる瞬間は?
ECサイトでの買い物に「楽しさ」を感じるポイントとしては、「特別なキャンペーンやイベント」(26.2%)、「季節感のある商品ラインナップ」(21.8%)が多く挙げられました。これは、単に"便利に買える"だけでなく、ECサイト上でリアルイベントのようなワクワク感や、季節ごとの変化を味わえることが、消費者にとって大きな魅力となっていることを示しています。ECサイトには"買い物以上"の体験価値を求めるユーザーが多いことから、今後は季節やイベントに合わせたコンテンツ企画や、ユーザー参加型のオンラインイベントなど、より"楽しさ"を演出する取り組みが一層重要になると考えられます。

調査結果の考察

株式会社エートゥジェイ メルカート事業責任者 / 取締役 渡邉 章公氏
2010年に株式会社ecbeingへ入社。エンジニアとして様々なクライアントのECサイト構築支援に従事。2016年よりSaaS型のECプラットフォーム構築に参画し、2018年に新サービス『メルカート』を立ち上げ。2020年にグループ会社のエートゥジェイへ事業と共に転籍し、執行役員に就任されました。
・季節イベント商戦を成功させるためにはターゲットに応じた手段の選定とワクワク企画がカギ
本調査では、ECサイト利用者の年代や利用頻度によって、求める情報や行動様式が大きく異なることが明らかになりました。特に、若年層はSNSや動画など多様な情報チャネルを活用し、シニア層は公式ページやレビューを重視する傾向が見られました。これらから、今後のイベント商戦やECサイト運営には幅広い世代に対応した情報発信チャネルの整備と、パーソナライズされた体験提供が不可欠になると考えられます。
ECサイトに対して「割引・送料無料・ポイント還元」といった経済的メリットを求める声が最も多い一方で、「商品の使用例やレビューまとめ」「人気商品ランキング」といった、安心して商品を選択できるための情報の充実も重視されています。これは、ユーザーが自分にとって最適な選択をしたいという意識の表れであり、レビュー・ランキング情報の自動集約、個々のニーズに合わせた自動レコメンドや情報提供がより重要となる、といえるでしょう。
一方、ネガティブな評価として「必要な商品が見つからない」「商品がイメージと違った」といった声も一定数挙がっており、サイト運営の改善余地が浮き彫りになりました。これらの課題に対しても、検索精度の向上や、商品画像・レビューの自動最適化、ユーザーの行動データを活用したコンテンツの最適化など、探索体験を高める仕掛けやAIの活用が解決のカギとなることが予想されます。
今後のECサイトには、単なる"買い物の場"にとどまらず、ユーザーが参加・体験し、発見やワクワク感を得られるような仕掛けも重要です。AIを活用したユーザー参加型の企画や、季節や嗜好に応じてパーソナライズされた体験の提供は、ブランドの新たな価値創出につながるでしょう。
総じて、今回の調査はECの探索性能や情報最適化、ワクワク感など顧客体験の重要性を示すと同時に、AIなどの先端技術が体験向上と運営効率化の両面で重要な役割を担うことを強く感じさせる結果となりました。
出典元:株式会社エートゥジェイ プレスリリース