
BASE株式会社、Eストアー株式取得の背景と目的
2024年12月26日、BASE株式会社は株式会社Eストアーを完全子会社化するための一連の取引を完了し、株式譲渡契約を締結したと発表しました。この動きは、Eストアーの全株式を取得することを目的としたもので、BASEが進めるグループ全体の成長戦略における重要な一手とされています。
Eストアーは、D2C(Direct-to-Consumer)を支援する「Eストアーショップサーブ」などのサービスを提供し、EC支援において豊富な経験を持つ企業です。一方、BASE株式会社は「BASE」「PAY.JP」「Pay ID」などのサービスを展開し、個人やスモールビジネスを中心とした顧客層に向けてネットショップの運営支援を行っています。両社のシナジー効果を期待し、BASEはEストアーを完全子会社化することでサービスの付加価値をさらに高めるとしています。
取引の詳細と期待される影響
今回の完全子会社化に伴い、BASE株式会社は以下のような取引を進める予定です。
- 株式公開買付け(TOB)の実施
JG27※がEストアーの普通株式を対象に公開買付けを行い、株式併合や自己株式取得を経て、BASEがすべての株式を取得する計画です。 - 事業ポートフォリオの再編
Eストアーの連結子会社であるSHIFFONやWCAの株式は譲渡され、さらに完全子会社コマース21の株式もJG27に配当される予定です。
※JG27 は、Eストアー及びコマース21の株式保有によるEストアー及びコマース21の事業活動の支配管理を主たる目的として、2024年12月24日に設立された株式会社。
図表1:株式会社Eストアーの財務データ(2022~2024年)
決算期 | 売上高(千円) | 営業利益(千円) | 当期純利益(千円) | 1株当たり配当金(円) |
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2022年3月期 | 5,746,946 | 1,051,541 | 677,177 | 40.00 |
2023年3月期 | 9,449,401 | 882,783 | 304,486 | 50.00 |
2024年3月期 | 12,566,002 | 1,086,161 | 462,724 | 53.00 |
図表2:主要子会社の業績(2022~2024年)
子会社名 | 決算期 | 売上高(百万円) | 当期純利益(百万円) |
---|---|---|---|
株式会社SHIFFON | 2024年 | 6,644 | 428 |
株式会社WCA | 2024年 | 327 | -26 |
コマース21 | 2024年 | 2,891 | 391 |
これらのデータは、BASEがEストアーの成長ポテンシャルを評価する際の基準となったとされています。特に、過去3年間の売上高増加が顕著であり、事業ポートフォリオの最適化が今回の取引を後押ししました。
今後のスケジュールと業績への影響
取引に関連するスケジュールは以下の通りです。
図表3:取引スケジュール
日程 | 内容 |
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2024年12月26日 | 取締役会決議、株式譲渡契約締結 |
2025年2月28日(予定) | 臨時株主総会 |
2025年3月4日~4月1日(予定) | 株式公開買付け |
2025年7月中旬(予定) | 株式取得の実行 |
BASEは、この取引による2024年度の業績影響を最小限にとどめるとしていますが、2025年以降の収益改善に向けて積極的な投資を行う方針です。
まとめ
BASE株式会社のEストアー完全子会社化は、同社の成長戦略の一環として非連続な成長を実現する重要な動きです。両社の強みを最大限に活かし、顧客への価値提供を拡大することで、さらなる成長を目指します。今回の取引は、BASEのサービスラインナップ強化とEストアーのリソース最適化を実現する大きな一歩です。